第308話

 「とりあえず隊列を組むぞ。先頭はユキ、シェーレ。中列はサフィ、カナリ、クウ。最後尾はラティアと俺だ。早速動いてくれ。」


 アルがダンジョンを進む隊列を組むように言うと、全員が闘気か魔力を纏い、隊列を組む為に動き出す間、モンスターや罠などを探知する魔法や視界が悪い環境でも視界を確保できる魔法を発動する。


 「(うわっ、近くに罠があるな。次の階層へ進む方向にないのは良かったけど。それにモンスターも居るな。)みんな、これから進む先にモンスターが居る。注意して進んでくれ。」


 『分かったのです!!』


 『では皆さん。進みますね。』


 ユキとシェーレを先頭にしてアルたち一行は上級ダンジョンの洞窟を進んで行く。


 「もうそろそろ見えて来るぞ。」


 そうアルが言ってすぐ、身の丈ほどある木の杖を持ちローブを纏うスケルトンが通路の先から三体現れる。


 アルはすぐに現れた魔法使いのような格好のスケルトンに調べる鑑定系の魔法を使い調べていく。


 「俺はスケルトンメイジだ!闇魔法を主に使うから気を付けろ!!」


 『行くのです!!』


 『ユキ先輩、撹乱は任せました!』


 真っ先にユキが飛び出し、シェーレはその後を追う。


 スケルトンメイジたちもアルたちに気が付いたのか、すぐに杖をアルたちに向けると、杖の先に魔力が集まり闇属性の魔力弾を連続で放ち続ける。


 三体から放たれる闇属性魔力弾の数々は、主にスケルトンメイジに接近するユキとシェーレに放たれるが、ユキは素早い身のこなしで躱し、シェーレは分厚いハサミに魔闘気を一瞬だけ纏い自身に命中する物だけを破壊する。


 『これは魔力だけでも十分に防げますね。』


 シェーレは自身に向かう闇属性魔力弾を魔力をハサミに集中させて防ぎ始める。


 そして、アルたちまで向かって来る物は、サフィの水弾により相殺され、更にサフィはスケルトンメイジたちにも水弾を放った。


 サフィの放つ水弾をスケルトンメイジの一体が相殺する係になり、残りの二体でユキやシェーレ、アルたちに闇の魔力弾で攻撃してくる。


 『まずは一体なのです!!』


 そんな中、ユキは魔闘気を足に集中させてスケルトンメイジとの距離を一気に縮めると、スケルトンメイジの一体に向かって首を振るい角から闘気の斬撃を飛ばす。


 カチカチカチと歯を鳴らすスケルトンメイジの一体が闇魔法を発動し、大盾のサイズの闇の盾がユキの飛ばした闘気の斬撃を防ぐ。


 『チッ、倒せなかったのです!!』


 スケルトンメイジが反撃に放った闇魔力弾を回避したユキは、スケルトンメイジたちの周りを走り出す。


 走り回りながらユキが攻撃を加えて来るせいで、接近するシェーレやアルたちに向かって放たれていた弾幕の量が減り、サフィが放つ水弾の量が上回りスケルトンメイジの一体に水弾が命中する。


 『隙ありです!!フッ!』


 ユキが首を振り闘気の斬撃を飛ばしてスケルトンメイジの杖を持つ腕を切り落とした。


 これにより今まで均等を保っていたスケルトンメイジたちだったが、それも保てなくなり、更に接近していたシェーレも攻撃に参戦したことで、スケルトンメイジたちは一気に駆逐されて行くのだった。


 スケルトンメイジたちが倒れた場所にできた灰の山に集まると、アルはスケルトンメイジとの戦いはどうだったのかを聞いてみた。


 「戦ってみてどうだった?ユキから順番に教えてくれ。」


 『様子を見ながら戦ったですけど、そこそこの強さだったです!!次は私だけでも倒してみせるのです!!』


 『まだ他にもスケルトンメイジが行なう行動があるかも知れませんが、次からはもっと速く倒せます、あるじ様。』


 『……ぼくも、次は簡単に……倒す、よ。』


 「まあ、確かにユキたち三匹とも本気を出して戦っていなかったな。じゃあ、次のモンスターを探して進もうか。」

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