第307話
クウ一匹での下級ダンジョンの攻略を終わらせた翌日。この週から冒険者育成校では進級や卒業の為の試験が行なわれる。
週の始めが各学年の一組、二組の試験が行なわれる為、アルの所属するクラスは初日に試験を終えた。
そして、一週間の間に全学年で行なわれるこの試験が終わっても、この週は授業が無い為、アルは迷宮都市にある上級ダンジョンに挑戦する為の準備を行なっていた。
『いよいよ上級ダンジョンに挑戦ですね。あるじ様。』
『楽しみなのです!!』
「そうだな。情報では一階層から纏いの強化をモンスターが使ってくるらしいぞ。」
上級ダンジョンの情報を冒険者ギルドや冒険者育成校の図書室にある本などの資料では、一階層からすべてのモンスターが魔力や闘気を纏って身体強化を行ない、更にダンジョンの階層を進めば魔闘気を使うモンスターだけになるほどの攻略が難しいダンジョンになるようだ。
『……ぼくも、強くなって……進化したい!』
「サフィだけじゃなく、ユキやシェーレもなかなか進化しないからな。強敵と戦えば、それだけ速く進化もするだろう。」
ユキ、シェーレが進化してからそれなりに時間が経っているし、サフィを仲間にしてからも時間が経っているから、あとはより多くの戦闘を行なえば自然に進化すると思う。
『マスター。ワタシも進化が出来るでしょうカ?』
「ゴーレムコアもちゃんと進化するから安心して良いぞ、ラティア。だけど、進化の仕方が特殊らしいから、ラティアの進化は来年の目標だな。」
ラティアのゴーレムコアと言う種族は特殊で、進化には多くのアイテムが必要になるが、それも魔像の心臓や魔導知能が手に入る中級ダンジョンの攻略で入手することが出来るので、来年にはラティアの進化も可能だろう。
とりあえず来年の冒険者第三育成校の卒業までには、召喚獣全員が一度は進化をすることを来年の目標にしようとアルは思った。
『それにしてもクウを連れて上級ダンジョンに行っても大丈夫なのかメー?』
『カナリの言う通りです。上級ダンジョンのモンスターはどれくらいの強さなのでしょう。クウを連れて行っても大丈夫なのでしょうか?』
『おねえちゃんたち、わたしはいっちゃだめなの?』
クウが潤んだ瞳でカナリとシェーレを見つめる。
「クウを守りながらでも、一階層なら大丈夫だろう。最初に遭遇したモンスターはユキ、シェーレ、サフィに任せる予定だからな。その間は残りの俺たちが入ればクウに被害は行かないさ。」
『じゃあ!わたしもいけるんだね!!』
「そうだぞ。」
尻尾をブンブン振るって喜ぶクウを撫で、装備の点検を終えたアルは、点検した装備を身に付けるとユキたち召喚獣を一度送還すると、冒険者第三育成校を出るのだった。
そうして朝早くなこともあって、そこまで人の通りが少ない上級ダンジョンの入り口のある大通りを進んで行く。
「子どもか……上級ダンジョンは銀級冒険者以上しか入れないぞ。帰った帰った。」
「俺は銀級だよ。ほら……。」
シッシッと手を振るう上級ダンジョンの入り口に佇む兵士に言われると、アルは冒険者ギルドの銀級のギルドカードを取り出して兵士に見せる。
「あ゛?それ、本当に銀級のギルドカードか?」
「はぁ、確認してくれ。」
朝の早い時間で更に子どもだからと兵士の態度が悪いが、冒険者ギルドカードの確認をして貰い、本物だと確認が取れた。
冒険者ギルドカードを返して貰うと、アルは未だに悪態を付いている兵士を一瞥して、ギルドカードを魔法の空間収納に仕舞い、今度こそ上級ダンジョンへと向かった。
上級ダンジョンの入り口を潜ってダンジョンの中に入ると、そこは薄暗く明かりはヒカリゴケと思われる物が点々とあり、その明かりで洞窟内を照らしているのだろう場所だった。
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