第306話
首に出来た切り傷からの出血を闘気を集中させることで出血を止めて回復しようとするレッサーキッズドラゴン。
そんな相手に接近して行くクウは、首の切り傷を更に広げ深く傷付けようと、傷口を狙うかのように動く。
そんなクウの動きに対して、レッサーキッズドラゴンは傷口を庇うように動いた。
『だまされたね!!これでさんかいめ!!!』
身体能力の強化を一時的に更に闘気の使用量を増やすことで上昇させると、フェイントをレッサーキッズドラゴンに掛けて、首の傷口が方とは反対側の首を深く切り裂く。
レッサーキッズドラゴンも既にある傷口ばかりを意識したことで、クウのフェイントに引っ掛かり、もう一つ出来た切り傷はかなりの深さになっていた。
『いっきにいくよ!!』
二箇所に出来た切り傷からの出血を抑える為に、更に首に闘気を集中させて暴れて近寄らせないようにするレッサーキッズドラゴンに、クウは振り回される攻撃を躱しながらレッサーキッズドラゴンの顎下からかち上げる。
「グギャッ!??」
そして、仰け反るレッサーキッズドラゴンに、クウはトドメを刺さんとばかりに尻尾の装甲に闘気を刃のように変えると、遠心力を利用した一撃を首に放った。
この一撃が決め手になり、レッサーキッズドラゴンはダンジョンの床に倒れると、灰の山へと姿を変えていく。
「クォーーーーーンッ!!!(パパ!おねえちゃんたち!わたし、たおしたよー!!!)」
勝利の咆哮をあげたクウの元へと集まると、クウは褒めて欲しそうに尻尾を振るう。
「初めてで良くやったぞ。クウ!よしよし。」
そんな様子のクウを褒めると、ドラゴンアーマー越しだが撫でていると、ユキたちはクウに良かったところや悪かったところを教えながら褒めていた。
ひとしきりクウを褒めたアルたちだったが、レッサーキッズドラゴンのドロップアイテム探しにユキたちは向かい、アルはクウと一緒に現れた宝箱の元へと向かった。
『なにがはいってるのかな?』
「ドラゴンアーマーよりも良いのはないと思うぞ。はっきり言って、ドラゴンアーマーがあそこで手に入るとは思わなかったしな。罠もないから開けると良いぞ。」
『うん!』
クウが宝箱の蓋に爪を引っ掛けて宝箱を開けると、その宝箱の中には一本の短剣が入っていた。
『パパ、それなーに?』
「調べてみるよ。」
宝箱の短剣には触れずに鑑定系の魔法を発動して調べていくと、この短剣は清流の短剣と言う短剣で、魔力や闘気を込めると短剣から清らかな水が流れ出し操ることが出来るようだ。
そのことをクウだけではなく、レッサーキッズドラゴンのドロップアイテムや魔石を持って来てくれたみんなに話すと、アルは早速宝箱の清流の短剣を使用してみた。
清流の短剣に魔力を送ると、清流の短剣の剣身から水が湧き出し始める。そして湧き出た水を操作して水を鞭や長剣の形にして振るって操っていく。
「なかなか使い勝手は良さそうだな。」
『アル、それって飲めるのです?』
「調べた結果は飲めるようだぞ。清流の短剣に送る魔力や闘気の質で味が変わるみたいだ。飲んでみるか?」
『飲むのです!!』
いの1番返事をしたユキに清流の短剣から出した水を飲ませる。すると、ユキの口に合ったようでお代わりを要求され、それに興味を持った他の召喚獣たちにも飲ませていく。
そして、アルも清流の短剣から出した水をコップに入れて飲んでみると、水として考えると、今までで一番美味しい水の味だ。
「本当に美味しい水だな。」
『もっと寄越すのです!!』
『わたしもほしいー!!』
アルの周りで欲しがるユキとクウに追加であげる為に、魔力を送り生成した水を球状にしてユキとクウだけじゃなく、他にも欲しいそうに見つめてくるサフィたちにもお代わりをあげると、それをユキたちが飲み終わるとボス部屋から出て、もう一度クウにレッサーキッズドラゴンと戦闘をして貰う。
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