第303話

 クウのドラゴンアーマーに備え付けられている翼刃は模擬戦時でも使用していたが、模擬戦相手の全員に躱されており、どれほどの切れ味があるのかは分からなかったが、ランバードを大きく切り裂けるくらいには切れ味があったようだ。


 「クォーーーーーン!!!!!」


 ランバードたちに勝利したクウが雄叫びをあげると、カナリの倒したランバードからドロップアイテムを回収したアルたちはクウの元に向かう。


 『みてたー!みんなにはあてられなかったけど、ランバードにはあてられたよ!!』


 「ちゃんと見てたぞ。上手く攻撃を当てられていたな。」


 クウを褒めていると、クウが倒したランバードのドロップアイテムや魔石をラティアから受け取り、アルたちは先へと進む。


 それからクウは、ランバードだけではなくスリープシープも倒すのを見ながら、とうとうレッサーベビードラゴンと遭遇した。


 「クウ。相手もクウと同じドラゴン系モンスターだ。クウなら倒せるだろうけど気を付けろ。それと、レッサーベビードラゴンがブレスを使って来た場合は、同じ威力のブレスで相殺するんだ。出来るな。」


 『うん、できるよ!!いってくるね!!』


 クウが相手をするレッサーベビードラゴンは二匹だ。身体の大きさはクウと同じくらいだが、放出でしか身体強化を行なえないレッサーベビードラゴンではクウには敵わないだろう。


 「「ガァアアアア!!!!!!」」


 「クゥーーーー!!!!!!」


 二匹のレッサーベビードラゴンとクウがお互いに咆哮をあげる中、闘気を込めての咆哮をあげたクウの咆哮には物理的な威力も強くなり、レッサーベビードラゴンはダメージを受けると共に怯む。


 怯むレッサーベビードラゴンをクウは観察しながら、レッサーベビードラゴンたちが行動を移すのを待っているようだ。


 「「ウガァアアアアアア!!!!!!」」


 自分たちが怯んだことに怒りをあげて叫んだレッサーベビードラゴンはクウへと向かうと、苛烈に牙や爪それに尻尾や身体を使った物理攻撃を行なっていく。


 けれど、クウは余裕で一つも攻撃は当たらずに避け続ける。


 『あたらないよー!』


 「「ガァアアアア!!!!!!」」


 挑発するような動きをするクウに、更に怒りを燃え上がらせるレッサーベビードラゴンたちは、とうとうブレス攻撃を行なった。


 二匹のレッサーベビードラゴンが協力して同時に放ったブレス攻撃は威力を増してクウに迫る。


 『これくらいかな?ブレスだー!!』


 クウも迫るブレスを狙ってブレスを吐き出すと、ブレス同士がぶつかり合う。


 ぶつかった場所から広がっていくが、クウとレッサーベビードラゴンのお互いにブレスの直撃はしない。


 このブレス同士の撃ち合いはレッサーベビードラゴンたちが止めたことで終わると、クウは攻撃に移り出した。


 クウは一匹のレッサーベビードラゴンに急接近すると、腕に闘気を集めた打撃を繰り出す。


 「クゥウウ!!!!」


 レッサーベビードラゴンの頭部に振り下ろしたクウの一撃で、レッサーベビードラゴンは叫び声をあげずに頭部を失い倒れ伏す。


 「ガゥラァアアアア!!!!!!!」


 そこに倒したばかりのクウを狙って、最後のレッサーベビードラゴンが襲い掛かった。


 『あたらないの!』


 スピードを一切緩めずに突撃して来たレッサーベビードラゴンに、クウはその場から飛び立つことで躱すと、くるりと身体を縦に一回転することで遠心力の助けを得た尻尾の一撃を、先ほどまでクウの居た場所を通り抜けようとするレッサーベビードラゴンに命中させた。


 ガンッと音を立てて吹き飛んでダンジョンの壁に衝突したレッサーベビードラゴンに、クウは追撃のブレスを球状にして放ち、レッサーベビードラゴンたちとの戦闘に勝利して「クォーーーーーン!!!!!」と雄叫びをあげるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る