第302話
翌日早朝、アルたちは訓練所に来ていた。
誰も居ない無人の訓練所の一つで冷え切った空気の中、アルは魔法で訓練所内に光を灯す。
「明かりはこれでいいな。クウ、早速このドラゴンアーマーを身に着けてくれ。これに魔力を流せば自動で装着されるから。」
『わかったよ、パパ!』
収納空間から取り出したドラゴンアーマーをクウの前に置くと、クウはドラゴンアーマーに魔力を送る。
すると、ドラゴンアーマーは一人でにバラけると、クウの全身に装着されていく。
流石に全身を覆う鎧にはならないようだが、それでも素の防御力よりも高くはなっているだろう。
『パパ、みんな、これどうかな?』
ドラゴンアーマーを身に纏うクウはアルたちに見せるようにしながらクルクルと移動する。
「似合ってるぞ、クウ。」
『えへへ、そうかな〜!』
アルを筆頭にクウ以外の召喚獣たちもクウに感想を言うと、クウは照れていた。
それから全員で魔力と闘気の操作制御の精度を上げる練習や一周毎に交互に纏いながら訓練所をマラソンする。
それが終わると、アルたちは三組同時に行なう模擬戦を開始した。
最初の模擬戦ではクウは見学をしたが、それから二戦目以降からはクウも参加した模擬戦をする。
アルを除いた召喚獣たちの中で一番強いと言えるのは今は居ない。今はユキとシェーレにサフィの三匹の戦闘能力が拮抗している状態だからだ。
移動速度が兎に角速いユキ、防御力の高さで攻撃を受けて反撃するシェーレ、水魔法の遠距離攻撃を行なうサフィ。
この三匹は魔闘気も纏うことも可能なお陰で模擬戦では結界を張らないといけないほどだ。
クウが参加した二戦目からは、一人が休憩を取りを繰り返し行ない、模擬戦は最低でも一巡は行なう。
模擬戦では流石にクウも全員と戦うが一勝も出来ないことに落ち込んでいた様子だった。
そんな模擬戦を朝早くから行なったアルたちは、朝食をそのまま訓練所で食べると、今日は昨日の続きで二十一階層から下級ダンジョンへと向かった。
『パパ!ダンジョンではかつやくするよ!!』
「期待してるよ、クウ。」
ふんす、ふんすと鼻息を荒くして気合いの入っているクウを先頭にアルたちはダンジョンの探索を進めて行くと、早速モンスターと遭遇した。
「最初の相手はランバードだな。五匹いるけど、クウなら倒せるだろう。」
『うん!いってくるね!!』
こちらに向かって来るランバードたちの方へと、ドラゴンアーマーを身に纏うクウは向かって行く。
新しい装備を身に着けたクウはランバードたちが繰り出す攻撃を回避する中、二匹のランバードがアルたちの方へ向かって来る。
「クウ、この二匹は俺たちが倒すから気にせず、そっちの三匹は倒しちゃってくれ!」
『わかったー!』
クウに気にしないように言うと、迫るランバードたちを誰が倒すのかを聞いた。
『ボクがするメー!』
すると、一番最初にカナリが返事をしたカナリがランバードの相手をすることになる。
「メーーー!!!!!」
カナリは迫るランバードの一匹に雷撃を浴びせて一撃で倒すと、もう一匹のランバードに突撃して頭突きを食らわして直接雷撃を与えて倒した。
カナリが二匹のランバードを倒していた頃、丁度ランバードからの攻撃を一定回数回避したクウが反撃に出る。
「クゥウーーーーーー!!!!!」
クウは身に着けたドラゴンアーマーの装甲がある尻尾を振るい、ランバードのダチョウのように長い首に命中させる。
ランバードの首が変な風に曲がり動かなくなる中、残りの二匹のランバードへと翼を羽ばたき向かう。
翼にあるドラゴンアーマーにクウが魔力を送ると、翼の装甲に刃が生まれる。そして、その刃によりクウは二匹のランバードの間を通り抜けて切り裂き、残りのランバードたちを倒すのだった。
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