第301話
二十階層のボスモンスターであるビックプラントとの戦闘にクウは勝利した。
『かったー!かったよ!パパ!!』
灰の山に変わっていくビックプラントの上空で円を描くように飛んでいるクウの元へ向かったアルたちに気が付き、クウがアルのまたに向かおうとした次の瞬間、クウの身体が光を放ち始めた。
『な、なに?!パパ!』
「進化だ。クウ、今は進化が起こってるんだ。一旦下に降りて。」
『わ、わかった。』
地面にクウが降りると光が大きくなって行き、そして光が収まると、そこには大きくなったクウがいた。
今までのクウよりも二回りほど大きくなっており、人間の子供が横になった時と同じくらいの長さだ。
『わたし、からだがおおきくなってる!!』
クウが自身の身体が大きくなっていることに驚いているその間に、アルはクウに鑑定系の魔法を発動して調べる。
すると、スモールミニベビードラゴンからミニベビードラゴンへと、クウは進化したようだ。
『大きくなって強くなってるのです!』
『これならクウも三十階層までのモンスターと戦っても余裕そうですね。』
『……ぼくも、早く……進化したい。』
『体内魔力と闘気の量、質共に上昇していまス。クウは強くなってまス、マスター。』
『ボクもクウに追い越されないように強くならないといけないメー!』
進化したクウを見て、みんなが話している中、シェーレは隣に居るアルへと話し掛ける。
『あるじ様、明日からはクウも模擬戦に参加しても良さそうですよ。』
「そうだな。今日の帰り際に訓練所の予約を取って置くか。」
クウが仲間になってから一度もしていない模擬戦だったが、クウが進化して強くなったことでクウも参加することが出来るだろう強さを得たからだ。
クウも最初は戸惑っていたようだが、その場で身体を動かして慣れたのか、アルの元へと駆け寄って来た。
『パパみてー!わたし、おおきくなったよ!ほらほら!!』
尻尾をブンブンと振り回しながら駆け寄ったクウがいつものように抱き着こうとして来る。
アルは瞬時に体内に満たす魔闘気の質と量を上昇させると、クウを受け止める。
「うっ、進化して大きくなったから重くなったな。」
『むぅ!おもいなんていわないで!!』
頭をグリグリと擦り付けながら言うクウにアルは謝ると、アルたちは出現した宝箱を開ける。
「これはなんだ?」
宝箱の中に入っていたのは金属の鎧だった。けれど、その金属の鎧は人用の鎧ではないのは見た目で分かる。
『これはドラゴン用の鎧なのでしょうか?』
『カッコいい鎧なのです!!』
『これ、わたしのなの?』
「多分な。でも調べみるか。」
宝箱の中に入ったままで、アルは鑑定系の調べる魔法を発動すると、ドラゴンの形になっている鎧を調べていく。
そして調べた結果、この鎧はドラゴン系モンスター専用の鎧で自動的に身に付けられ、更に一定サイズの大きさまでなら形を変えられる効果もあるようだ。
それに、このドラゴン系モンスターの鎧はドラゴンアーマーと言うそうだ。
「呪いとかはなかったな。クウ、これはお前専用の鎧だぞ。今日は帰るから明日の朝の訓練の時にでも身に付けてみるか。」
『これ、わたしのなんだね!あしたがたのしみだよ!』
魔法の収納空間にドラゴンアーマーを収納すると、アルたちは二十一階層の転移水晶へと向かった。
それからダンジョンを出てすぐに召喚獣たちを送還したアルは、様々な手続きを終えて寮へと帰る。
自室は帰るとすぐに全員を召喚すると、ミニベビードラゴンへと進化したクウの身体の大きさを確認する。
進化したクウでも十分に過ごせることが分かると、ダンジョンでの探索で汚れた身体をお風呂場でシャワーを使い洗って行き、それから少し早いが夕食にすると、アルたちはのんびりと夜を過ごすのだった。
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