　第三試合一年生の対決は副将戦で騎士学園の勝利が決まった。けれど、まだ大将戦が残っている。そしてこれから修復された試合舞台で一年生大将戦が行なわれる。

　騎士学園の大将選手はメリッサ・フランソワという女子生徒で両手に長剣、盾を持ち、金属鎧を身に着けて、光魔法を使用していた。

　第四育成校の大将選手はというとドロシーという女子生徒で杖を持ち、防具に皮の鎧を身に着けて、火魔法と土魔法を使用している。

　この両選手の大将戦の試合の結果はドロシーが勝利で終わった。

　試合開始が審判員により行なわれると、すぐにメリッサ・フランソワは闘気で強化した身体能力を使い、ドロシーに突撃を行なった。

　向かって来るメリッサ・フランソワにドロシーはというと、土魔法を使用して試合舞台の石畳をでこぼこにして移動の妨害を始めた。

　そんな移動の妨害にメリッサ・フランソワはまんまと嵌っていた。

　石畳から伸び出た石は蹴り壊すことが出来たが伸び出たことで穴になっていた場所を踏み抜き転んでしまっていた。

　更に転んだ際に足の骨を折っていた。どうやら伸び出た石畳の石には、土魔法で硬度を強化していなかったようだが、穴の周囲の石畳は強化しており、かなりの硬度のせいで穴の周りを蹴り破って穴から足を出すことが出来ずに骨が折れたのだろう。

　足を折ったメリッサ・フランソワは無理矢理足を上げて穴から足を出そうとしたその時、メリッサ・フランソワを囲むように石畳の石が混ざった土壁が四方に出来上がる。

　そして、出来上がった土壁がメリッサ・フランソワを囲み終えると、メリッサ・フランソワが居るだろうと思われる頭上に巨大な火の玉が出来上がり落下した。

　落下した巨大な火の玉が石畳にぶつかったのか、取り囲む土の壁の向こうから火柱が上がった。

　闘気と魔力がメリッサ・フランソワを取り囲んでいる土壁の中から感じていると、火柱がだんだんと収まって来た。

　収まっても尚、土壁に囲まれた中から闘気と魔力が感じられる。けれど、その闘気や魔力も火柱が上がる前よりもかなり落ちているがまだ戦闘を行なえるのだろうか？と思っていると、メリッサ・フランソワが動き出した。

　メリッサ・フランソワは土壁を破壊して囲いの外に抜け出したタイミングでドロシーから石弾が放たれ、メリッサ・フランソワはまた土壁の向こうに吹き飛ばされた。

　更に破壊されて穴が開いた土壁を修復したのか、土壁が元に戻ると、再度の火の玉が土壁の中に落とされる。

　火の玉の大きさが最初に落とされた時よりも小さい。だが、威力が低いそれでも土壁の中きら火柱が上がる。

　やはり威力が低いのか、上がった火柱もすぐに収まる。

　囲まれた土壁の中のメリッサ・フランソワの感じられていた闘気と魔力はかなり落ちていて瀕死なのでは無いかと思われる。

　そして、審判員が限界なのに杖を支えにしてもう一度、火の玉を放とうとしているドロシーを止めると、大将戦の勝者はドロシーになった。

　ドロシーはそれを聞いて力を失ったのか座り込んだ。そんなドロシーを置いて土壁を闘技場の修復をしていたスタッフが土魔法で元に戻す。

　そこには赤くなっていたのが収まり始めた金属鎧を着たメリッサ・フランソワが少し溶けたような石畳に倒れていた。

　そんな状態でも闘気や魔力を感じられていることから、まだ生きているのだろう。

　メリッサ・フランソワは、闘技場スタッフに担架に乗せられると、すぐに連れて行かれた。

　ドロシーも担架を持ったスタッフが近くで乗るかを聞いているような様子だったが杖を突いて自力で試合舞台を後にした。

　こうして第三試合一年生大将戦は第四育成校の勝利で終わり、試合舞台が修復スタッフにより修復されているのを見ながら、アルは昼食のお弁当で出されたサンドイッチを食べ終わった。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい