第188話

 第二試合は正午までに終わると、ここから昼食を食べる為のお昼休憩が行なわれることは無く、このまま騎士学園VS第四育成校が行なう、第三試合が始まる。


 第四試合で試合を行なう第三育成校の面々は、先ほど闘技場スタッフにより届けられた昼食のお弁当を食べながら、第三試合を観戦していった。


 昼食を食べ始める頃に第三試合一年生先鋒戦が始まる。


 騎士学園一年生の先鋒は、長剣と盾を両手に持ち、金属鎧を身に着け、雷魔法を使用する女子生徒のリリという選手。


 第四育成校一年生先鋒は、弓を武器に使い、皮の鎧を身に纏い、火魔法を使用する同じく女子生徒のレアという名前の選手。


 この二人により行なわれた一年生先鋒戦の試合結果は騎士学園の勝利で終わった。


 試合は開始早々にお互いに身体強化をすると、リリは相手選手のレアに向かい、レアはそんな迫るリリから逃げながら矢を射って攻撃していた。


 その際にレアは鏃に火魔法を込めて射ったことで鏃が何かに当たると、鏃を基点に燃え盛る火が現れる。


 リリは射られた矢を盾で対処したせいで盾が火で炙られ真っ赤になると、盾を投げ捨て矢を回避することを選ぶが、火による熱や盾の急上昇した温度に持ち手を握っていた手にダメージを受けていた。


 レアは矢を射るだけでは無く、火魔法を使用して火の玉を放って牽制を行ない、火の玉の回避方向に矢を射るなど工夫してリリに攻撃していく。


 その間も常にレアは逃げ続けて攻撃して行くが、最終的に矢筒から矢が一本も無くなるまで続けて行く。


 だが、矢が一本も無くなると、リリは一気にレアに接近し距離を縮める。


 そんなリリにレアも精一杯に火魔法を使ったのか、巨大な火の玉や火の壁を作り出して妨害するがリリは、それを突破してレアに剣を振るう。


 振るわれた剣を回避したレアに向かい足の裏に魔力を込めて一気に移動すると、剣を持たない雷を纏う拳で腹を殴り、電撃と殴打の痛みで怯んだ隙に柄頭で頭を殴ってレアを倒していた。


 着込んでいる金属鎧が少し赤熱している箇所があるからか、リリは審判員の判定を聞くと試合舞台に倒れ、担架に二人揃って運ばれて行った。


 次に行なわれた第三試合一年生副将戦だ


 騎士学園一年生副将は長剣、盾、金属鎧、そんなリリと同じ装備に身に纏い、水魔法を使用していたヨーゼフ選手。


 第四育成校一年生副将は両手に剣を二本持った双剣と皮の鎧を身に纏い、風魔法を使用したテオ選手。


 そんな第三試合一年生副将戦は騎士学園が勝利して、第三試合一年生は騎士学園が先に一勝した。


 先鋒戦とは違ってお互いに身体強化をした後に対戦相手である選手に走り近付くと剣を振り合う。


 片手で剣を持つヨーゼフと片手に一本ずつ持つテオでは斬撃の威力が同じかと思われたが違く、ヨーゼフの一撃によりテオの剣は弾かれ腕が上がる。


 テオはすぐにヨーゼフにもう一本の剣を振るい、攻撃するが盾に防がれ、更にシールドバッシュをされる。


 シールドバッシュには風魔法も使われた為か、シールドバッシュを受けたテオは身体ごと弾き飛ばされてしまい、試合舞台の縁まで弾き飛ばされる。


 それでも体勢を整えたテオにヨーゼフは向かった。テオは迫るヨーゼフに水魔法を使い抵抗していく。


 けれど、風魔法を使用して風を纏う盾で水魔法を防がれながら接近されていた。


 テオはこのままでは試合舞台から落ちると、試合舞台の端から落ちないように移動しようと行動するが、それは遅かったようでヨーゼフとの距離がどんどん狭まって行く。


 すぐ側が試合舞台の端だという状態に陥り、テオは身体強化の闘気を全開で行ない、更に未熟なせいでキチンと纏えていない状態の水魔法の装甲を纏い始めた。


 控え室から感知できる程度だが、テオの魔法装甲は魔力の偏りがかなり多い為、まともに使えないのだろう。


 そんな状態でも少しでも強化しようと思ったのだろうテオだが、ヨーゼフは闘気での身体強化を強めて押し出しをしていく。


 振るわれる双剣を剣や盾で防いで弾き、そしてヨーゼフは魔法の強化を得たシールドバッシュを受けてテオを弾き飛ばし、試合舞台から落とすだけで無く闘技場の壁まで吹き飛ばした。


 テオは壁に打ち付けられ打ちどころが悪かったのか、ぐったりとして座り込み動かなくなった。


 審判員はテオに近付きながらテンカウントを取ると、カウントが十に行くまでテオは気絶から覚めることは無く、副将戦はヨーゼフの勝利で終わった。

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