第109話
勝者が決まりアルの次の相手はルーシーに決まった
(あそこまで連続してルーシーは氷魔法を放つことが出来るのか。それにしても村にいた時は祝福頼りだったみたいだけど、今のエランは少しは技量が身に付いているみたいだな)
先ほどの試合を見てそんなことを思いながら、アルは午後の試合を楽しみにしながら試合会場を後にした
そして時間は経ち午後の試合時間が迫ってきた。アルは試合会場に向かい試合をする舞台の上に上がる
「アル、貴方に挑戦するわ!私じゃ貴方に勝てなくても本気くらい出させてみせるわ!」
身体から魔力が滲み出るほどにやる気に満ちているルーシーは、そうアルに宣言する
「俺も負ける気はないよ(それに午前の試合を見たけどあれくらいならどうにかできる程度だからな。でも纏いまではいかなくても放出はしないとキツイかもな)」
「両者、準備はいいですか」
「いいわ」
「いいです」
身体に満たした魔力を更に放出できる準備まで済ませる
「試合開始!!!」
「先手でいくわ!」
審判員の合図と共に試合が始まると、ルーシーは早速氷魔法を使い氷の球を複数放ってくる
拳大の氷が迫る中で、アルは身体から魔力を放出して身体強化をすると、鞘から抜いた剣に魔力を纏わせ剣を刃筋を立てずに振るう
魔力の衝撃波を剣を振るう事で発生されると、衝撃波は迫り来る氷の球を吹き飛ばしルーシーに向かっていく
刃筋を立てないことで切断力がほとんどない衝撃波をルーシーは氷の壁を作り防いできた
(避けずに魔法で防いできたか。それにしても氷の球を吹き飛ばすだけのつもりで放った衝撃波を防いでだいぶ削れたな。それとも俺が放った衝撃波の威力を防げる程度の氷の壁を作ったのか?)
衝撃波を防いだ氷の壁は大きく削られヒビだらけになっている。更にここから少しでも力を加えればそのまま倒壊するだろう
(ルーシーは氷魔法が得意みたいだからな。接近して攻めるか)
アルが足に力を入れて氷の壁の向こうに向かおうとした時、氷の壁がアルの方向に向かい倒れる
「近づけさせないわ!」
氷の壁の向こうからルーシーの声が聞こえる。すると倒れた氷の壁は細かい氷に変わり、試合舞台に広がると広がった氷から鋭い棘がアル目掛けて広がり向かってくる
前に進む為に足に入れた力を抜いて後方に下がり氷の棘の範囲から逃れる
(数も多いし細いことからそこまで耐久力はなさそうだな。またさっきみたいに衝撃波を放って氷の棘を壊しても、それを何かに利用される可能性もあるな。ここは俺も魔法で対抗してみるか)
圧縮した魔力を使い炎を生み出すと、炎をルーシーに向かい扇状に広げて試合舞台にある氷の棘を溶かしていく。そして溶けて水になった水は蒸発していき水蒸気に変わった
「炎を使ってきたわね。好都合よ!」
ルーシーは水蒸気に変わった水分を利用して、水蒸気を一気に冷たく冷やすと試合会場全体が冷えていく。そしてルーシーは向かって来ていた炎に向かい吹雪を放った
その吹雪は炎を消火していくだけではなく消火と同時に水蒸気に変わった水分を更に冷やすことで魔法の吹雪の威力を上げていく
暑くなり始めた季節だというのに今のこの試合会場は真冬のように冷たく寒い
「(この季節だというのにここまで気温を下げることができるのか。でもあの吹雪くらいなら魔力の放出だけでこつちは防ぐことができるぞ。なら他にも何かしてくるかもな)でもこれならどうだ!」
扇状に広がっていった炎を消した吹雪はアルに迫ってくる。だがアルは、吹雪に向かい剣を振り上げ縦に一閃する。吹雪のみを切り裂くイメージで振り下ろした剣から放たれた衝撃波は吹雪を切り裂いていく
そしてアルは切り裂かれた吹雪の道を通りルーシーがいるだろう場所に向かい駆けていった
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