第110話
魔法で吹雪を作り出したルーシーの元に、アルは走る。吹雪の影響か、試合舞台は冷たく凍り付いたことで滑りそうなフィールドに変わっている
(かなり滑るな。今のところは凍っていない場所だから、何とか走っていられるけど、もうそろそろ、そんな場所は無くなってくるな。これで滑らなくなるかは分からないけどやってみるか)
アルは、靴の裏を魔力をスパイクのように尖らせて纏う。魔力を硬化させることで、滑って転ぶことなくルーシーの元に向かう
(何とかこれで滑らずに走れるな。ルーシーから感じ取れる魔力も少なくなって来ているし、この試合もあと少しか)
「はぁ、はぁ、さっきの吹雪に魔力をかなり使ったのにやっぱり対処されたか。流石、序列一位ってことね。はぁ、負けるとしても最後まで頑張るとしますわ」
吹雪を切り裂き吹き飛ばした斬撃の衝撃波で開いた視界で、ルーシーを確認して向かってくるアルに向かって、ルーシーは少なくなった魔力で効率的に魔法を放つ為か、握り拳よりも小さな氷の球を放ってきた
向かってくる氷の球は小さいが正確にアルに狙いが定まっている。頭部に迫る氷の球をアルは身体を沈めて躱す
だが躱した氷の球の後から、次々と数多くの氷の球がアルに向かってくる
(かなり数が多いいな。それに躱したり剣で弾いても、この数だと全てを対処することは出来ないか。仕方ない、被弾を覚悟するか)
アルは身体全体に魔力を纏い防御力を上げると、被弾を覚悟してルーシーの元に向かう
「なっ!防がずに突き進みますか!(魔力も残り少ない。このまま続けても私の氷の球では、それほど効いていませんか。ならこれが私の最後の攻撃です!)」
最低限の氷の球を躱し、剣で弾いてルーシーに接近するアルに、ルーシーは手に持つ魔法を補助する杖を両手で握ると、アルに向かい最後の魔力で魔法を放つ準備をする
ルーシーがこの試合最後に使う魔法は氷の剣を振り下ろす攻撃だった。両手で持った杖を自身の頭上に掲げると、杖を持っている持ち手の少し先から剣が生成されていく
冷え切った試合会場の冷気が杖に集まり、杖に生成された剣に集まると、大きな氷の大剣が作り出される
「くぅっ!(まだ私の力量じゃあ、この会場すべての冷気を集めてまとめることはできないか。はぁ、魔力制御の練習不足ね。それにもっと魔力があれば、もう少し威力が上げられたわね)」
(あれが最後の攻撃ぽいな。回避は出来るだろうが……迎え打つか)
アルはルーシーが氷の大剣を作り出し始めた段階で立ち止まる。そして自身の魔力を剣に送る。剣の限界までは魔力を送らずに、剣に纏わせている魔力を増やすことで、剣の負担を減らして強化な一撃を放つ準備をしていった
「これが最後よ!アル、食らいなさい!!!」
「こい!」
「ハァアアァァァァ!!!!!」
ルーシーが振り下ろす氷の大剣はアルに向かう。アルはその振り下ろされる大剣に向かい纏わせた剣を振り上げる
そして振り上げる途中で剣に纏わせた魔力を氷の大剣と同じように変化させると、氷の大剣と打ち合う
氷の大剣と魔力の大剣が打ち合うと、周囲にかなりの音が響く。そして大剣同士の拮抗はすぐに変化が起きた
ルーシーが使った氷の大剣はバキバキ、パキパキと音を立てて壊れる。氷の大剣が壊れたその時に、氷の大剣だった物から冷気が試合会場に広がっていった
氷の大剣を破壊した後、アルはしばらくの間、警戒していたが、やがてなにも無いと判断すると、魔力の大剣を魔力に変えて空気中に霧散させる
「やっぱりこれでもダメだったわね。審判、降参よ」
「ルーシー・ヴァレルの降参で勝者は一年一組アル!」
審判員が勝者の名前をあげると、試合会場は、勝者のアルと負けてしまったが健闘をしたルーシーを讃えて試合会場は盛り上がった
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