第108話
闘気を放出して向かってくるヤムンをアルは、体内で満たしている魔力を更に圧縮して限界近くまで身体能力を強化すると、ヤムンを迎え打つ
「オラァア!!!」
ヤムンは大きく振りかぶって殴りに来る。ヤムンの攻撃を身体を動かして受け流して回避する
「まだまだぁ!!!」
「………………(おっと、危ない。でも放出までしなくても、まだいけるな)」
ヤムンは受け流がされた腕で裏拳を放ってくる。その攻撃を後ろに後退して躱すと、ヤムンはアルに向かい連続で拳を突いてくる
右、左、右、左と振るわれる突きを回避し続けていく。そうして避けているとヤムンが放出している闘気の量やムラが大きくなっている
「避けるだけか!!!」
「………………(もうそろそろこっちから攻撃していくか)」
大きく声を張り上げるヤムンを冷静に観察しながら徐々に身体能力が落ちて来ているヤムンに反撃に出る
「なっ!」
腕を振りかぶったヤムンに、アルは地面を蹴って一気に近づくと無防備になっている腹部に正拳突きを食らわせる
「ぐふっ!!」
「……(こいつは身体が大きいからな。場外まで一撃では、流石に吹き飛ばさないか)」
体格の大きなヤムンは正拳突きを受けて身体を浮かして吹き飛ばされ転がるが試合舞台の中央付近を過ぎると止まる
「ぐあぁ!いてぇーー!!!」
「ふぅ…………(あの一撃で場外まで行けるようになりたいな。まだまだ修行をしないといけないな。さっさと勝ってしまおう)」
腹を押さえて起き上がろうとしているヤムンに地面を蹴ると同時に足裏から魔力の放出を行なって加速して一気に近寄る
「いてぇ!!……なっ!うわぁ!!!」
そして起きあがろうとしているヤムンは顔を上げて驚く。そんなヤムンに向かい回し蹴りをする
ヤムンに当たる際に更に足から魔力放出を行なって、蹴りの速度を加速させて威力を上げると、蹴りが当たったヤムンは、今度こそ場外へと吹き飛ばされる
ヤムンはギリギリで腕でガードできたが、威力が高かったアルの蹴りにより試合舞台の外へと吹き飛んで転がり壁にぶつかる
「あぁぁああぁあああ!!!!!」
ガードしたヤムンの腕は骨が折れているのが分かるほどに、肌の色が変わり腕の向きが変わっている
そしてヤムンは叫び声を上げながら腕を押さえて蹲っている。そんなヤムンに審判員が近付いて確認する
「勝者一年一組アル!!!」
審判員が勝者を挙げると、会場は盛り上がり拍手や喝采が上がる
舞台から降りるとアルはヤムンの元に向かおうとするが、ヤムンは腕を押さえ脂汗を流したまま睨み付ける
これは近づかない方がいいと判断したアルは、試合会場を出るとそのまま、今日の試合がまだある試合会場に向かった
(それにしても闘気ありのヤムンがあんなにも興奮して大振りの攻撃ばかりして来たから楽だったな)
そんなことを思いながら見に行く予定だった試合会場にたどり着いた
次のアルの試合相手は同じクラスのルーシー・ヴァレルか丁度いま試合をしている相手がアルの試合相手だ
そして丁度間に合い試合が始まったところだった。ルーシーは攻撃魔法の特に氷魔法を使い相手選手に向かい氷の球や氷の矢、氷の槍を間髪入れずに複数を連続で放ち攻撃している
相手選手は剣を使う選手でなんとアルと同じ村のエランだった。村長の次男のエランは剣聖の祝福を得ているお陰で、今もなんとかルーシーからの魔法攻撃をどうにか出来ているがそれも時間の問題だろう
エランは結局はルーシーの元までたどり着くことは出来ずに、氷魔法の集中攻撃を受けてしまい、最終的にはなんとか剣で切り払っていた魔法を切ることに失敗して魔法を受けると、そこから何もすることが出来なく審判員の判断でルーシーの勝利が決定した
エランは身体を震わせながら審判員に文句を言うが、判定は覆ることはなく、何度も剣を地面に叩き付けて悔しがっていた
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