第6話

 今日は新年祭で兄のケビンと姉のベルの双子の兄妹が十歳になる為村にある教会に行く日でもある


 新年祭では村の皆んなで祭りを開く他に十歳の子供たちにこの世界の神様たちが祝福を授けてくれる日でもあるのだ


 俺は新年祭の日も家ではなるべく部屋から出ないで過ごす。この新年祭の時期は寒く雪が降ったりもするが今年は雪が降らず積もってもいないので寒いくらいだ


 「アル、新年祭に行くぞ」


 部屋の扉の前でルークの声が聞こえてきた


 「分かったよ。今から準備するから先に行ってて」


 「そうか、じゃあ先に行くぞ」


 今年の新年祭は今世の兄と姉の晴れ舞台でもあるので父親のルークとしては来て欲しいのかもしれない


 外に出る準備が終わると部屋から出て家の玄関に向かうとそこには今の俺の家族たちが集まっていた


 「なんだ、お前も来るのかよ」


 「アンタは部屋で閉じこもんなくていいの?」


 兄や姉が嫌そうな顔をしながらそんな事を言ってくるが何か言っても面倒くさくなるだけなので何も言わずにいるとそれにイラついているのか兄ケビンと姉ベルの顔がどんどん険しくなってきていた


 「お前たちその辺にしなさい。アルも準備が出来たみたいだし行くぞ」


 「わかったよ」


 「は〜い」


 「分かりました」


 家を出ると村の教会がある村の広場まで今の家族と共に歩いていく


 広場に着くと祭りの用意がされており広場の真ん中には丸太で組まれたキャンプファイヤーの様な物があった


 広場には他にも今回の神々の祝福の為に子どもたちとその家族が集まっていた。それをボーッとしながら待っていると教会から神父と修道女が出てきた


 「では十歳になっている子供たちは私の後をついて来てください」


 神父がそう言うと今回の神々から祝福を受ける子どもたちが神父の周りに集まると教会の中に入っていった


 「どれくらい祝福は時間が掛かるの?」


 「だいたい一時間くらいじゃないか?祝福を受けた子どもから順に教会から出るからな。長くて一時間だな」


 父親のルークに聞くと一時間くらい長くなると掛かる様だ。そんな長くあのケビンとベルの為に寒い外で待つのは腹立たしいが我慢して教会から出るのを待つ


 それから三十分くらいしてまずはベルから教会から出てきた


 「お父さん!わたし、狩人の祝福だったよ!」


 「そうか、お父さんと同じ祝福だな!ベル」


 抱き付いてきた姉ベルの頭を父親ルークが撫でている隣で聞いているとベルもルークも狩人の祝福を貰っていた様だ


 狩人の祝福がどんな祝福なのか分からないがその名前の通り狩人の仕事に関係する祝福の様だ


 嬉しそうにはしゃいでいるベルを他所に次に出てきたケビンは表情が暗そうに出てきた


 「ケビン、こっちだ。お前はどんな祝福だったんだ?」


 「…………みん……」


 「なんだって?」


 「農民だったよ。父さん」


 落ち込んでケビンはそう言った。これが普通に良い兄だったら心配もしたがいつも嫌がらせしかしないこいつの事を心配しないで笑いそうになるくらいだ。まあ、ここでケビンを笑ったら不味いので流石にそんな事はしないが


 「そう、か。まあ、農民の祝福も良い祝福だからな。今、家で使っている畑をケビンの好きに使っていいからな」


 「…………う、うん……」


 元気の無いケビンに流石にベルも先ほどの様に喜んではいない様だ


 ケビンが教会から戻ってきたので家に帰る。道中はケビンもベルもどんな祝福を貰えるんだろうと楽しそうにしていたが今はケビンの元気の無さもあり無言で家に帰宅する事になった


 家に着くとケビンは自身の部屋に戻っていった。ベルもケビンを心配しているのか顔の表情も心配している顔をしている


 「お父さん、ケビンの所に行った方がいいのかな」


 「今はやめておきなさい」


 「わかったよ」


 そう姉のベルが父親のルークに聞くとベルも自分の部屋に戻っていった

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