第525話 罰に必要なレベルアップ

「その為か、先程国王陛下より、ルーデンス王太子殿下の罪を問うことは出来ないと、かばわれてしまったのです。」


「……そのような子を、国王にさせることは出来ませぬ。ルーデンスが国王として認められる為には、わたくしの承認が必要。わたくしは決してお前を国王にはいたしません。」


「大おばあさま!?」

「代理母上!?」

 リシャーラ王国で国王として認められる為には、政務に携わることの出来る王族全員の承認が必要なんだよね。


 現時点でのそれは、国王と皇太后の2人。

 その片方でも反対すれば、ルーデンス王太子は国王にはなれないんだ。


「では、僭越ながら、ルーデンス王太子殿下の処罰は、僕にお任せいただけませんか?」

「……念の為、ひとかけらの希望を持って、映像と音声を確認させてもらっても?」


「仰せのままに。」

 やっぱり、身内としては最後まで信じたくないよね。自分の孫とひ孫が、そんな犯罪に手を染めておいて、しれっと国をおさめていたり、国王になるつもりだったなんて。


 僕は記録された映像と音声を流した。

 マリアンヌ・フォダ・リシャーラ皇太后殿下は無言でそれを見続けていた。


「あい、わかった。ルーデンスの処罰は、フルバティエ王国に一任するとしよう。」

「ありがたく存じます。」

「大おばあさま!」


「……僕はね、君はもっと人の痛みを知るべきだと思うよ。だから、命は取らない。」

 ルーデンス王太子がホッとした顔をする。


 キリカ!ルーデンス王太子の弱点は何?


【回答、ルーデンス・ソバト・リシャーラの弱点は、クラーケンと、グエイです。

 幼い頃、クラーケンの出てくる物語を読み聞かされて、怖くなったようですね。】 

 とキリカが返答してくれる。


 グエイってなに?


【回答、グエイとは、クラーケンを小さくしたような海洋生物です。焼いても干しても茹でても美味しいですが、水面に浮かんで鳥をだまし、捕食する獰猛なところもあります。】


 ──これで条件は満たした。

 すると、頭の中に、【スキルがレベルアップしました】、という文字が浮かぶ。


【●スキルレベル39・情報の海。

 半径70リオの情報を検索が可能になりました。


 ●スキルレベル40・血の海。

 半径1アガの対象に対し、ステータスHPおよびMPおよびSTにおける、60%の固定ダメージを与えます。

 また、魔法やスキルの効果に対しても、影響を及ぼします。


 ●スキルレベル41・多様性の海。

 周囲の環境の親和性を30%高めます。

 対象の性別を変更可能になりました。】と、また、再び文字が浮かんだ。


「……僕が与える罰はこれです。

 多様性の海。ルーデンス王太子以下6名、君たち全員を、女の子に変える!!」

「──!!!!!」


 僕が手をかざすと、ルーデンス王太子たちが全員女の子へと変わる。ルーデンス王太子はさすがの美少女ぶりだね。


「こ、これは……!」

「嘘だろ?ほんとに女になってんのか!?」

「む、胸が出来た……。」

 全員が混乱しているみたいだ。


「ついでにこれもどうぞ!

 ──生命の海!!大量のグエイ!!」

「わあああぁ!!誰か!誰かとってくれ!

 怖い!気持ち悪い!!」


 ルーデンス王太子の上に大量のグエイが降り注ぎ、ルーデンス王太子が床の上をのたうち回っている。ルーデンス王太子が苦手な物が、僕の出せるものだったからついでにね。


「女の子になって、女の子の気持ちを知るといいよ。これが僕が与える罰だ。そして──兄さまたち、もういいですよ。」


【“やっとかよ、待ちくたびれたぜ!”


 “やっぱりそうなったのね。”


 “本当に愚かだこと。”


 “さっそく下そう、2000年ぶりの神罰を。腕がなるぞう!”】


 念話を通じて兄さまたちの声がする。

 楽しそう過ぎませんか、兄さまたち。

 僕がただ待っているのを見て、きょとんとしているルーデンス王太たち。


 ほどなくして1人の従者が謁見の間に、転がるように駆け込んできた。

「で、伝令がございます!」

「なんだ、騒がしい!」


 筆頭補佐官デニス・アルグーイが、謁見の間に転がり込んで来た従者を叱責する。

「ド……、ドノバス・クアント祭司長より、緊急の伝令です。通信具をつなぐ許可を!」


「ドノバス・クアント祭司長が……?」

「なんだと言うんだ……。」

 大臣たちがざわざわしている。

 まあ、そうだろうね。


 秘匿回線を使っているであろう、教会との直通回線を通じて、通信具からドノバス・クアント祭司長の声が聞こえてきた。


「……エディンシウム・ラハル・リシャーラ陛下。いったい何をなさったのです!?

 まさかこのようなことがおきるとは。」

 ずいぶんと声が慌てているね。


「いったい何事ですか?会談中だと言われたでしょうに、突然緊急通信など……。貴殿でなければ無視しているところですよ。」

 筆頭補佐官デニス・アルグーイが呆れる。


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わくわく神罰タイム( ゚∀゚)o彡°


書籍化用のレンジアの番外編、締め切りに間に合いました〜。

書籍を購入して下さる方はお楽しみに(*^^*)


【推しの子】最終回、アニメで別エンディング期待したいです。いいアニメなのに……。

原作まんまはちょっと……。


兵庫県知事選、前知事のパワハラ捏造の証拠があるらしく、混線してきましたね。

そして案の定報道しない模様。

パワハラ疑惑の際は、証拠もない時点で連日報道していたんですがね……。

捏造したとされる県民局長の方は、自身の大量不倫バレそうになったからなのか、自殺なさってしまったみたいですが。

公用PCに不倫のデータもあるから、プライバシーの侵害だと。

それを理由に証拠の確認をしないというのはちょっと意味がわからないですね。

(公用PCにプライベートなことを入れているのがそもそも。

亡くなられた方の罪をあばこうとしない体質どうかと思います。生きてる人がその人のせいで苦しめられてるかも知れないのに。)

それにしても、他の県知事候補者の中で、公益通報の本質を理解しているのが立花孝志さんだけだったのが驚きですね。

変わった人だと思っていたけれど、実は1番勉強している人だった。

今回のことで印象が変わりました。

公益通報って、不正の目的でなく、というのが大前提なのに、すべてが嘘の可能性が高い(前知事の被害者や、前知事にお金を払ったと指名された人たちや機関が、実名で前知事がしたとされていることを否定している)、前知事の名誉を貶めることだけが目的と思われる時点で、いっさい公益通報たりえないわけですが……。

公益通報の通報者を調べたから、前知事のせいで死んだ、ということにされているらしく(まあ事実を明るみにされそうになって、お亡くなりになった可能性が高いですが)。

嘘だから(公益通報じゃないから)調べられることになった、というだけなのがわかっていない候補者さんたちに投票するのは、ちょっと考えたほうがいいかなと感じましたね。



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