第283話 僕のための体
「──なにこれ?花みたいな……紋章?」
「わからない、急にできた。毎日どんどん大きくなる……。洗っても消えない。怖い。」
レンジアは不安そうにそう言った。
うーん、なんなんだろう……。病気とか?
キリカ!レンジアの胸の花について、なにかわからないかな?
【回答、銀牙狼族は愛を知ると胸に花が咲きます。気持ちに応じてそれが大きくなっていき、相手と結ばれるとやがて実をつけます。
花は銀牙狼族が愛する者を守る為の力の根源です。癒やしの力や、攻撃の為の魔法が使えるようにもなり、その力は花の大きさに比例して高まります。
また相手の居場所を察知する能力が高まることとなり、相手の居場所に自身の体を転移することも可能となります。
実が熟すと、女性は相手のこどもを妊娠しやすく、男性は妊娠させやすくなります。
なおかつ花も実も相手の性感を高め、快楽性の高い性交渉を可能とさせます。
銀牙狼族はパートナーを思いやり、その子どもを大切にする種族です。相手からより愛して貰えるよう、体を作り変える種族であると言えるでしょう。
レンジア(暗号名:コバルト)の体がより女性的になっているのも、この銀牙狼族の種族性に起因するものとなります。】
良かった、病気とかじゃあないんだね。
より女性的……。確かに最初に会った頃、お風呂場に侵入してきたレンジアが服を脱いだ時よりも、かなりふっくらしてきたよね。
【素直にオッパイとオシリが日に日に大きくなってるって言ったらどうですか?
オニイチャンの為の体ですよ?】
やめてよ!見ないように、考えないようにしてるんだから!それに僕の為の体って何?
レンジアの体はレンジアのものだから!
【レンジアさんは、オニイチャンのことが好きだから、あんなに大きな花をつけて、オッパイとオシリが大きくなっているんです。
これは銀牙狼族の特性です。
レンジアさんは、オニイチャンの為に、快楽性の高い性交渉の出来る体にまで、生まれ変わったんですよ?これがオニイチャンの為の体じゃなくて、なんなんですか?】
その、快楽性の高い性交渉ってなに?
【オニイチャン、オフィーリアさんとの結婚に向けて、色々と性教育を受けましたよね?
結婚生活をよりよいものにする為の。】
う、受けたけど……。
【その中に、相手を盛り上げる為の手管も含まれていましたよね?今のレンジアさんは、そういうのが、より盛り上がって、気持ちよく出来るような体だということです。
レンジアさんとエッチしたら、気持ちが良過ぎて離れられなくなるということですね。
これは人間には無理なことです。良かったですね、彼女、愛人希望ですし。】
何がいいの!?ていうか、その話は今後やめて?仮にも妹から聞きたくないよ!
僕が恥ずかしい!
真っ赤になって、両手で顔を覆ってしまった僕を、レンジアが不思議そうに首を傾げて見つめている。いくら情報の女神さまだからって、なんであんなにサラッと言うかなあ!
【オニイチャンの為に言ってるんですよ?
彼女は王家の影です。オニイチャンをろう絡するよう、密命も受けてます。】
そんなこと言ってたね、僕を夢中にさせるように、とかなんとか……。レンジアがよくわかってなくて、勘違いしてたけど。
【それです。彼女が王家の影として、密命の為にそういうことを、今後手ほどきされないと言えますか?一度してしまったら戻れないくらいの気持ちのイイ体なんですよ?
オニイチャンなんて、簡単にレンジアさんにろう絡されちゃいます。情報として知っておいて損はないと思いませんか?】
確かに王家の影には、そういう専門部隊もいると聞いたことがあるよ。そんな人たちの技術を身につけたレンジアが迫ってきたら、僕なんて簡単にろう絡されちゃうのかも。
「アレックスさま。いっぱい気持ちよくしてあげる。だから私を好きになって。
……今だけは、私のことだけ考えて。」
久々に僕の妄想が爆発する。僕に迫ってくる裸のレンジア。その胸には、僕のことが大好きだと、言外に語る大輪の花。こんなの見せられたら、意識しないなんて無理だよう。
妄想、散れっ!散れっ!レンジアはこんなことしないから!……とも言えないのが、レンジアなんだよなあ。よくわからないまま、逆にこういうことをしてきそう。
「そ、その、レンジアは、自分のルーツについて、少しは知ってるのかな?」
「知らない、わからない。」
レンジアが首を振った。
「レンジアはその……、銀牙狼族っていう種族の血が入ってると思うんだ。なにか心当たりがないかな?胸のそれはそれだと思う。」
「──心当たり、ある。」
そう言うと、レンジアが今度は下履きをズルッと下に下げた!!
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