第265話 エザリス王国の英雄候補者

「分かりました。」

 カミーザさんが差し出して来た2枚の紙を受け取ると、叔父さんとともに文章を確認する。僕の秘密を口外しないという内容だ。


「確かに。問題ありません。」

 カミーザさんからペンを受け取って、僕と叔父さんも2枚ともにサインをすると、新しい針を受け取って血判を押した。


 カミーザさんが空中に2枚の紙を放り投げると、2枚の紙は再び青い炎となって、空中で燃え尽き、その姿を消した。これで魔法の誓約書の効力が発動したことになるんだ。


「さて、話してくれ。アレックスのスキルの秘密とは?魚と水が出せることは聞いた。

 アレックスが託宣の対象である“ななつをすべしもの”であるということも。」


「はい。その“ななつをすべしもの”の使命にかかわる話です。アレックスの使命は、勇者と聖女、そしてそれを支える英雄を育てること、そしてまたその力があるのです。」


「……さすがに予想外の話がきたな。

 勇者と聖女、そして英雄を育てるとな?

 彼らは本来、突如として生まれいづるものであると認識しておるのだが。」


「はい。ですが、本来の神の意図としては、もともとこの世界にいる人間たちが、勇者や聖女として育つ力を持っているにもかかわらず、育たないから勇者と聖女を異世界より送り届けたり、目覚めさせたりしていたのだそうです。それを本来の姿に戻したいと。」


「育つのを待っていては、魔王の目覚めに間に合わぬから、……か?」

「その通りです。アレックスのスキルは、育つ補助をするものになります。」


「魚と水を出すことがか?」

「いえ、それはあくまでも付加価値です。

 候補者を見つけ出す力、そして候補者を育てる力が本来のスキルの能力なのです。」


「それを我が国の人間の中から見つけ出し、育てたいと、そういう話か?」

「はい。お話が早い。」


「ふむ……。“選ばれしもの”は勇者と聖女を見定める力を持つ。英雄もまたしかりだ。

 “選ばれしもの”が来るこの機会に、我が国に勇者なり聖女なりがいたとしたら……。」


「英雄でもよいと思います。1度にたくさんは育ちませんので、“選ばれしもの”が来るまでに間に合うかはわかりませんが。」


「そうか……。間に合わぬのは残念だが、勇者でも聖女でも英雄でもいい。この国に再び聖なる存在が現れるのであれば、それはこの上ないこと。素晴らしい提案だ!」


「ありがとうございます。」

「して、候補者は既にわかっておるのか?」

「それはこれから確認させていただきます。

 1人もいないということはないかと。」


 叔父さんに目線でうながされて、僕はコクリとうなずいた。

 キリカ!候補者がいたら教えて?


【回答、勇者、聖女、賢神、闘神、弓神、獣神、龍神に変化出来うる候補者について。


 現時点で勇者に変化する可能性のある者について。

 ●セオドア・ラウマン。

 勇者に変化する可能性、36.8%。


 現時点で聖女に変化する可能性のある者について。

 半径50リオ以内に該当者がいません。


 現時点で賢神に変化する可能性のある者について。

 ●カミーザ・シュベル。

 賢神に変化する可能性、14.7%。

 

 現時点で闘神に変化する可能性のある者について。

 ●シャーリー・クロッグス。

 戦神に変化する可能性、10.3%。


 現時点で弓神に変化する可能性のある者について。

 ●アイオロス・クロッグス。

 弓神に変化する可能性、11.2%。


 現時点で獣神に変化する可能性のある者について。

 半径50リオ以内に該当者がいません。


 現時点で龍神に変化する可能性のある者について。

 半径50リオ以内に該当者がいません。


 以上です。】


「カミーザさんが賢神、あとはシャーリー・クロッグスさんが闘神、それとアイオロス・クロッグスさんが弓神になれる可能性の高い方のようです。ご存知ですか?」


「なんと!カミーザもか!」

 バイツウェル3世が嬉しそうに微笑んだ。

「わ、わたくしが、英雄候補者……?」

 カミーザさんは困惑しつつも嬉しそうだ。


「クロッグス兄妹のほうも知っている。我が国独自の基準にはなるが、最近Sランクに上がったばかりの双子の冒険者だ。最速記録を打ち立てて、評判になっておる。」


 へえ!最速Sランク!数値が高いのも納得だね。双子でどっちも強いとか、ご両親の遺伝なのかな?ステータスは遺伝するからね。


 もちろん他の国の冒険者ギルドとつながっていないから、他の国のSランクとは比べられないかも知れないけど、数値だけ見ると、納得出来る実力の持ち主だね。


「連れて来ていただくことは可能ですか?」

「王宮にか?いいだろう。この国の為、クロッグス兄妹に協力をあおごう。──王よりの勅命だ。クロッグス兄妹を連れて参れ!!」


────────────────────


本日スキルロバリー最新話アップです。

月イチ更新頑張ってます。

ブックマークよろしくお願い致します。


──昨日の正解は、ヘラヘラ三銃士の、【女祭り】豪華YouTuber集めてAKB踊ってみた〜ありしゃんチーム編〜でした☆


男の娘(ゴリラ)と称されるダンスや、演出の数々を見て、初見の皆さんがどう思うのか気になるところです笑

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る