第259話 叔父さんとキリカへの相談
「……お兄さんの婚約者のことを、好きだったということ?死んでなお執着するほどに。
だから奪ったってこと?お兄さんの健康ごと。お兄さんはそれに気付いてたの?」
「自分の体が弱っていき、反対に弟が元気になった理由には気付きませんでした。弟が婚約者を好きなことは知っていました。」
知っていたんだね。それって複雑だなあ。
婚約者のことを愛していたとしてもそうでなくとも。──愛していたらなおのこと。
「……リカーチェ・ゾルマインは、どうしてザザ・アイワナ・バイツウェル2世と、行動を共にしているんだろう。」
これがまず疑問なんだよね。
「ザザ・アイワナ・バイツウェル2世が、彼をそそのかしたようです。リカーチェ・ゾルマインは、本来ならこの国の王族であったことを、親から聞かされて育ちました。」
「王位に執着していたということか。
……王族でなくされたことを、代々恨みに思っていたということだな。」
と、叔父さんが言う。
「はい。その負の感情が、ザザ・アイワナ・バイツウェル2世を引き寄せたようです。
リカーチェ・ゾルマインは、一族の中でも特に権力に固執していたようです。」
「リカーチェ・ゾルマインが、ザザ・アイワナ・バイツウェル2世の遠い親戚だから、で影響を与える何かがあったりするのかな。」
「リカーチェ・ゾルマインと血が繋がっていることが、ザザ・アイワナ・バイツウェル2世の力を増したようですね。」
「それは、とり付くのにいいってこと?」
レイス系の魔物とかも、とりつきやすい人とかいるみたいだし、それで人間を操るタイプの魔物なんかもいるんだよね。
「いいえ。血縁者を生贄に捧げることは、聖職者の次に、悪魔の力を借りる際、影響を強める方法です。その為、リカーチェ・ゾルマインである必要がありました。」
「生贄!?あの人は、生贄なの!?」
「ザザ・アイワナ・バイツウェル2世は、リカーチェ・ゾルマインの血を貰っています。
それにより力を高めています。」
「……それって、最終的に、あの人の命が使われたりはしないの?
だって実の孫を生贄に捧げた人だよ?」
「ザザ・アイワナ・バイツウェル2世の狙いは分かりません。私に分かるのは事実のみです。リカーチェ・ゾルマインは、エザリス王国だけでなく、世界を狙っています。」
「世界の王になろうとしてるの?」
「ザザ・アイワナ・バイツウェル2世には、それを実現させるだけの力があると、そそのかされたようです。」
実際色んな力を授けてるしなあ。
ただの魔物に出来ることじゃないよ。
キリカは発言されたことは情報として分かるけど、心の中までは分からないみたいだ。
「でも悪魔の力を借りて復活させようとしたくらい、お兄さんの婚約者に執着して、魔物にまでなった人だよね。ザザ・アイワナ・バイツウェル2世の狙いはそれな気がする。」
「俺もそう思う。恐らくリカーチェ・ゾルマインは、いいようにザザ・アイワナ・バイツウェル2世に利用されているんだろう。」
叔父さんもそれに同意する。
「……問題は、リカーチェ・ゾルマインに、僕の位置を特定されやすくなっちゃったことなんだ。相談っていうのは、それなんだよ、叔父さん。僕の家まで来るかも知れない。」
「なんだと?」
「さっき少し話したんだけど、リカーチェ・ゾルマインは、占い師に僕の顔と波長を記憶させたんだ。それで……。」
「能力の高い占い師であれば、顔と波長を覚えた相手は、どこまでも追跡が可能だ。
見知らぬ相手を特定出来る千里眼ほどじゃあないが、それはまずいな……。」
「うん、どうしよう。僕1人じゃ、いい方法が思いつかなくて。ザザ・アイワナ・バイツウェル2世には、人の能力を高めたり、新たな力を授けることが可能みたいだし。」
「占い師の力を高めていることは、じゅうぶんに想像出来る話だな。」
「うん……。始めからこれが罠だったと言われても、じゅうぶん納得するやり方だよ。」
それを見ていたキリカが、不思議そうに首を傾げて僕を見つめた。
「オニイチャン、相談するんですね。」
と言ってきた。
「え?あ、うん、……僕、母さまとお祖父さまが亡くなられてから、相談出来る大人が身近にいなくてさ。1人で考える癖がついてたんだよね。そうしなくちゃならなくて。」
エロイーズさんはあんなだし、父さまは僕に興味がないし、家庭教師はプライベートな話には乗ってくれない。そもそも雑談を認めてくれないから、話すことが出来ないんだ。
キャベンディッシュ侯爵家で働いてる人たちに、大人はたくさんいたけど、貴族として平民に漏らせない事柄も多かったしね。
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あまり嬉しくない感想をレビューでいただきまして。
……そんなに予想が可能な内容なんだろうか?と思い、各話の間に見出しをつけてみることにしました。
(なにがどう、また、なのかが分からないので……。)
なにせこのお話は、なんなら情報の海が解禁になってからが本番なので、そこに辿り着く前に切られてもなあ……という思いからですね。
スキルロバリーも、スキル強奪という能力がありふれていたらしいのですが、伏線仕込みまくりな作品というのは、異世界ものにはそんなにないように思うのですが、そのありふれた感からからか、ブックマークがこちらの作品よりだいぶ少ないですし。
読み続けていただくというのは、難しいものですね。
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