スキル【海】ってなんですか?〜使えないユニークスキルを貰った筈が、海どころか他人のアイテムボックスにまでつながってたので、商人として成り上がるつもりが、勇者と聖女の鍵を握るスキルとして追われています〜
第258話 ザザ・アイワナ・バイツウェル2世の真実
失われた大地の変化
第258話 ザザ・アイワナ・バイツウェル2世の真実
「その……、彼女は情報の海さん、僕のスキルの能力の1つだと思ってたんだけど、彼女が直接頭に話しかけてたみたいなんだ。
僕の……妹なんだって。」
この体はさっき新たに解放した能力で、僕が生み出したことを伝えた。人造人間を作り出せるのも、新たなルールを制定出来ることにも、叔父さんはかなり驚いていたよ。
「妹ということは、アジャリべさまが新たに生み出した神ということか?」
「うん、そうなるね。名前はキリカだよ。」
僕と一緒に話を聞いていたから、さすがに叔父さんは理解が早いな。
「はい、そうですよ。はじめましてですね、セオドアさま。……いいえ、お父さん。」
「お父さん!?」
「お、お父さん……!?」
何それ!?僕も初耳なんだけど!?
「お母さまが、セオドアと私の間に娘が出来たらどんなかしら〜、と思って私を作ったから、セオドアに会ったらお父さんと思ってくれてもいいのよ〜、と言ってましたから。」
「……オリビアがそんなことを?」
叔父さんオリビア呼びになってる。
「そ、そう、か、俺との、娘……。」
叔父さん、顔、真っ赤だよ。
実際母さま1人でキリカを作ったわけだから、厳密には叔父さんの子どもではないんだけどね。それでも母さまが自分との子どもを望んでくれていたことが嬉しいんだろうな。
確かに、キリカって、目元がちょっと叔父さん似かも?父さまは涼しい目元だけど、叔父さんは優しげで凛々しいからね。
僕は母さま似で、ちょっと目が丸っこいんだけど、キリカは僕と比べると、目元が凛々しいんだよなあ。うーん、僕がキリカの顔だったら、もう少し男らしい顔になれたかな。
叔父さんが咳払いをして、それで、相談ってなんだ、と聞いてきた。真っ赤になっちゃったのを、それで誤魔化したつもりらしい。
僕は、彼らが僕のことを、“ななつをすべしもの”の位置を特定する為に、簡単に逃げられるのに、足止めと言って、僕が追って来るように仕向けたことを話した。
「水の結界に穴を開けたのも、大きな音と振動で、僕に気付かせる為だったんじゃないのかな。あんな風に結界の中に魔法陣を作成して、逃げることが出来るんだから。」
「簡単に逃げられたわけではないと思いますよ。穴は必ず開ける必要がありました。
1箇所でも穴があいていなければ、外に通じる転送魔法陣は使えませんので。」
「そういうもの?」
「他人の魔法陣による結界の中ですからね。それも反対属性の。そこに干渉する為には魔法陣に魔法陣をぶつける必要があります。」
キリカが魔法陣の法則を説明してくれる。
僕も魔法については、色々と家庭教師から教わってきたけど、魔族の魔法について知ってる人なんて当然いない。
そこはキリカの情報だよりだった。
「穴を開けたことで、魔素や瘴気を取り入れることが出来、転送魔法陣なんていう、大きな魔法が使えるようになったんですよ。」
「でもその結果、音と振動で僕に気付かせておびき寄せることも出来た。僕の位置を特定する為に、占い師に僕の顔と波長を記憶させることに成功した。ついでに逃げられた。」
「一挙両得な方法ですね、よく考えられています。恐らくザザ・アイワナ・バイツウェル2世が抱えていた男が考えたのでしょう。他の男たちに知性は感じ取れませんでしたし。」
「あの男の素性はわかる?」
「はい。リカーチェ・ゾルマイン。エザリス王国の貴族です。先祖はザザ・アイワナ・バイツウェル2世の兄だった人物です。」
「そんなことが分かるのか?」
叔父さんがキリカの能力に驚いている。
「はい、私は情報と通信をつかさどる女神ですので。特定出来ないものもありますが。」
キリカが自分の能力を、叔父さんに説明している。僕はキリカの言葉に引っかかった。
「──兄?弟が王位をついだの?」
「兄の体が弱く、優秀だった弟を王位につけたようです。王妃は本来は兄の婚約者でしたが、そのまま引き継がれました。」
「王侯貴族にはよくある話だな。
家同士の婚姻になるから、婚約者が変わるなんて話は珍しくもない。」
僕の婚約者だったオフィーリア嬢も、リアムの婚約者にすげ替えられたからね。……オフィーリア嬢が嫌がって逃げたけど。
「ですが実態はその逆。本来体が弱いのは弟のほうでした。優秀なのは優秀でしたが、体が弱い為婚約者がいませんでした。」
「──え?どういうこと?」
「その頃から悪魔の力に傾倒していったようです。兄の生命力と自分の生命力を入れ替えることに成功し、婚約者を手に入れました。」
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認識阻害の魔法がかかっていない状態では、キリカの前では、すべてが丸裸。
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