第251話 逃げ出そうとするもの

【回答、出来ません。

 1度生み出されたものは絶対です。】


 ど、どうしよう……?


【ただし改定は可能ですよ?オニイチャンにだけ適用されるように、改変してはいかがですか?オニイチャンだけに通じるルールならば、特に問題はないのでは?】


 そんなことも出来るの?


【回答、可能です。】


 なら、そうしよう!

 ルール改定!10%を10回で、100%の効果を発動出来るのは僕だけ!!

 ……って、これで変わるの?


【確認します。……だいじょうぶです、ルール改定が受け付けられました。】


 よ、良かったあ……。


【人間の命に影響を与えることであれば、私も事前に警告しますが、オニイチャンの意図が分からないので、さすがに発動前に止められません。気になるのであれば、今後は事前に与える影響について確認して下さい。】


 そうすることにするよ。

 こうなると下手なこと言えないなあ。

 もっとよく考えるようにしないとね。

 キリカの言うことをよく聞くようにする。


【まあ、そうは言っても、そういうオニイチャンだからこそ、この世界にないものを生み出せるとして、お母さまが創生神の力を授けたわけですから。


 オニイチャンはある程度自由にしててくれて構いませんよ。その為の私ですから。むしろ考え過ぎるとよくないかも知れません。


 オニイチャンが何かすることで、悪い影響を与えることがあるのなら、私が全力で補助しますので、安心して下さいね。】


 キリカはしっかりしてて頼りになるなあ。

 僕も自分の使命の為に、もっと頑張らなくちゃね。キリカにもリアムにも、頼りになる兄だって思われたいしね。


 その時、地面が突然グラグラと揺れた。

「な、なに!?」

「地面に伏せるんだ!アレックス!」

 叔父さんの言葉に地面にしゃがみ込む。


 立っていられない程のグラつきに、地面にしゃがんで四つん這いになってやり過ごす。

 カミーザさんはバイツウェル3世の玉座にしがみついて、倒れそうになるのを耐えた。


 なに!?何が起きてるの!?キリカ!


【回答、悪しき者が水の結界より、脱出を試みて結界に干渉しています。結界が完成するまでの残り時間はあと34分。


 それまでに脱出しなければ、完全に閉じ込められて干からびる為、結界の中から抜け出して逃げようとしているのでしょう。】


 悪しき者!?悪しき者って!?


【回答、意思を持つ流動体、つまりは水の魔物です。水であることで、未完成の結界に関与する力が、他の魔物よりも強いようです。


 ──人間であった頃の名は、ザザ・アイワナ・バイツウェル2世。

 聖女を魔女裁判にかけ、悪魔に生贄を捧げて、王妃復活の儀式を行った張本人です。


 強い認識阻害の魔法により、今まで私の目を逃れていたようですが、結界をこじ開けて逃げ出そうとしたことで、認識阻害をかける余裕がなくなったようですね。


 このまま逃して、また認識阻害の魔法を使った場合、私でもこの者の位置を特定することが難しくなります。


 魔族を守護する神の力を借りているようですので。別の神の力には、私の力も及ばない部分があります。】


 エザリス王国の元凶の先代王!?

 魔物のまま、まだこの国に潜んでたの!?

 閉じ込められたら死んでしまうから、逃げだそうとしているんだ!


 キリカ!結界を完成させる速度を早めることは出来る!?今そいつを逃したら、この国にも世界にも、何をするか分からないよ!!


【回答、既に動き出した魔法陣に干渉することは出来ません。しかし、結界に干渉している位置は特定可能。南西部上空、ここより距離94アガの地点。追いかけますか?】


「叔父さん!聖女さまを火あぶりの刑にした元凶の先代王が、この国から逃げようとしてるみたいだよ!追いかけよう!」

「なんだと!?」


「なんと……。やはりまだこの国に潜んでおったのか。頼む、なんとか出来るのであれば滅ぼしてくれ!わがエザリス王国が、失われた大地と呼ばれなくする為にも!」


「かしこまりました。出来る限りの助力をさせていただきます。アレックス、行くぞ!」

「うん!時空の扉、83番目!!」


 僕は時空の扉を出して、叔父さんと飛び込んだ。その瞬間、中にいたキリカと目が合って、叔父さん目を丸くして固まった。

 そう言えば中にいたんだった。


「オ、オリビア……?」

 母さまの若い頃に似たキリカを見て、叔父さんがそうつぶやく。


「叔父さん、それは僕のスキルの情報の海さんだよ。詳しいことは後で説明するから!」

「スキル?アレックスのスキル?」

 叔父さんは混乱してるみたいだ。


────────────────────


昨日の正解は、さらば青春の光の、ブレイキングガウン(確か)です。


ご覧いただければ、ファウルカップニキとアナコンダニキの対戦を希望する理由も、お分かり頂けると思います笑


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る