第250話 新しいルール
「そ、その……、ちょっと魔をうち払う結界を、同時につくっちゃったみたいです。」
「──結界?」
叔父さんが驚いた表情をする。
「うん、グンディ──山を使った巨大な水瓶を作ったら、それがたまたま、聖なる結界の形になっちゃったみたいで……。」
「山の場所を俺にも確認させてくれないか?
この国の地図を見せてくれ。」
叔父さんがそう言うので、バイツウェル3世が丸を付けた地図を叔父さんに渡した。
「……なるほど。山の位置がちょうど六芒星の頂点にあたるんだな。そこに抽出した真水を注いだことで、それがアレックスの力に反応してしまったというわけか。」
僕の抽出した真水って、そもそも魔力を帯びているからかなあ。飲むと魔力が回復し、なおかつMPの基礎ステータス値の上限値を底上げするという効果を持っているんだ。
おまけに肌や髪にもいいしね。
それが大量にあったりすると、魔法の媒介になるってことなんだな。覚えとこっと。
「……待ってくれないか。
今はその結界が、このエザリス王国全体を包みこんでいるということは、この国に悪しき者は近付けなくなるということか?」
なのかな?情報の海さん。
──ううん、キリカ。
【回答、巨大過ぎるが為に、逆に一定以上の魔力を持つものに限定された結界です。
強ければ強いほど出入りが不可能です。
大きさと範囲で、発動対象の確定する結界となります。例えば弱い魔物を近付けたくないとするならば、それに合わせた大きさの水瓶と、結界の範囲が必要となります。
この国に悪しき存在が誰も近付けなくなったり、この国からすべての魔物がいなくなったり、ということはありません。
また、発動時にのみ媒介として、水のみたされた水瓶が必要となる魔法陣ですが、1度発動し結界が完成すれば、一定期間結界が持続し続けます。水瓶から水がなくなっても、同時に効果が失われるものではありません。】
なるほどね。
まあ、魔物の肉は食べられるから、弱いのまでいなくなったら、食べるものに困っているこの国は、もっと困ってしまうよね。
「近付けなくもなりますし、今いるものを追い出すことも可能ですが、もの凄く大きく作ってしまったせいで、一定以上の魔力を持つものに限られるみたいです。」
「……つまりもしも、まだこの国がこうなった原因である、先代王もしくはその王妃が変化したという魔物がまだこの国にいた場合、それをこの国から追い払うことも可能と?」
どうなの?キリカ。
【回答、可能となります。】
「可能みたいです。」
「そうか……!」
バイツウェル3世が、嬉しそうにグッと杖を持っていない方の拳を握りしめる。
この国が疎まれている理由が、その先代王と王妃のことと、聖女を魔女裁判にかけた結果神罰が他の国に与えられたことだもんね。
この結界がきっかけで、この世界に大きな変革をもたらすことになるかも知れないな。
いい方向に動いてくれるといいけど。
【というか、オニイチャンのさっきのルール設定のほうが、私的はこの世界に大きな変革をもたらしたと思いますけどね。】
僕の設定したルール?
僕、なにもルールなんて決めてないけど?
さっきは、山を使って、大きな水瓶を作って、キリカの体を作っただけだよね?
【先ほどおっしゃったじゃないですか。
10%も10回やれば100%だと。】
う、うん、言ったね。それが何?10回やれば、確率はその分あがるでしょう?
実際キリカの体を作れたんだし。
【10%を10回やっても、100%にはなりませんよ?足し算じゃないですから。】
──え?
【確率の問題です。10%を10回やったとしても、100%にはなりません。ここをオニイチャンがさっき、“なる”というルール改定を世界に対して施したんです。だから10回目で私の体が出来たんですよ。】
えええええ!?
10%も10回やれば100%だっていうのは、単に僕の気持ち的な問題だったんだけど、そんなことになってたの!?
【ご自分が創生神だということをお忘れですか?世界にないルールは、オニイチャンが思っただけで、作れちゃうんですよ?】
そ、それ、他の人たちにも適用されちゃうってこと?10%のスクロールを10回使ったら、100%になることだってあるよね?
10%のスクロールの価値が変わるよ!
【はい、だからこの世界に大きな変革をもたらしたと、先ほどお伝えしました。】
10%のスクロールなんて、ゴミになるほど出るものなのに……。
そ、それって、もとに戻したりは……。
────────────────────
Q.世界一どうでもいいクイズ
感想から動画を当てて下さい。
ファウルカップニキと、アナコンダニキの決勝戦期待。
ちなみにアナコンダニキのファンです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます