第248話 情報の海さんの体

【回答、その通りです。ただし、私の本体はこちらの領域には来られない為に、あくまでも精神がつながるのみとなります。】


 そうなんだね。

 確かに、顔を見て話せたほうがいいよね!

 うん、いいよ!


 僕は83番目の扉の中に戻って扉を閉めると、スキル解放条件代替スクロールを使用して、レベル29の解放条件を達成させた。


 すると、頭の中に再び、【スキルがレベルアップしました】、という文字が浮かぶ。


【《スキルレベル29・時空の海。》指定した時空の扉を複数同時に、時空の海の外に出現し、移動が可能になりました。


 《スキルレベル30・創生の海。》創生の海が使用可能になりました。

 この世に存在しないものを初めて作成した場合、10%の確率で成功します。】と、また、再び文字が浮かんだ。


 よし、情報の海さんの体を作るぞ!

 ……と、意気込んではみたものの……。

 10、10%って、キツイ……。


 なかなか成功しなくって、僕はスタミナを使い切ってグッタリとしてしまった。

 床の上に大の字に寝っ転がる。


【……難しいですか?アレックス。

 無理をしなくても……。】


 心配そうに、申し訳なさそうに情報の海さんが言ってくる。

 ううん!だいじょうぶだよ!

 必ず作ってみせる!


 10%だって10回やれば100%だ。

 間をあけるから駄目なんだ。連続で作ればいけるはず!僕はスタミナ回復薬をマジックバッグから取り出して飲み込んだ。


 そして何回目かの時。

「──や、やった……!」

 目の前が光って、人間の体が誕生した。とは言っても、本物の人間じゃないけどね。


 いわば人造人間。あまたの錬金術師が作ろうとして失敗したという人造人間なら、絶対にこの世には存在しないものだからね!


 けど、僕が生み出したからかな?僕と同じ金髪で、なんだか僕に似た女の子になっちゃった気がするよ。母さまの子どもの頃って、こんなだったのかな?って感じがするよね。


【創生の海により、ホムンクルス作成成功。

 これより、連携を開始します。】

 情報の海さんがそう言うと、僕と同じ緑色の目がスッと開いて、僕に微笑みかけた。


「ようやく会えましたね、オニイチャン。」

 と、情報の海さんが笑った。母さまが笑ってるみたいで、なんだかとても懐かしい。


「お、お兄ちゃん!?

 なんか恥ずかしいな、そんな風に呼ばれるのって……。」

 リアムにも久しく呼ばれてないからね。


「違いますよ、オニイチャン。私は本当にオニイチャンの妹。オニイチャンを補佐する為にお母さまが作り出した、情報と通信をつかさどる女神。それが私です。」


「……てことは、ほ、本当に妹なの!?」

「はい。領域区域こそ異なりますが。」

 アジャリべさま……、母さまの生み出した子どもなら、他の兄弟神たちと同じ存在だ。


 い、妹かぁ……。いつか父さまとエロイーズさんの間に、また弟か妹が出来るかもとは思っていたけど、まさか既にいたなんて。

 父さまになんて報告しよう。


 ……母さまは実はアジャリべさまで、よそで妹を作ってましたって?

 正直に言っても信じるかな……。


 ──あ、そもそも僕、キャベンディッシュ侯爵家に関われないんだった。

 じゃあ、別にいっか。

 叔父さんにだけ、報告しよっと。


「ねえ、ちなみにその顔はたまたまなの?

 僕が作ったから、僕に似たのかな?」

 僕がこの先また人造人間を作ったら、全部僕に似た男の子か女の子になるとか?


「いいえ?そもそも母さまが私を生み出す時に、オニイチャンに合わせて作られたので、あちらでもこういう顔ですよ。」

「あ、そうなんだね。」


 初対面だけどリアムよりよっぽど僕に似ていて、誰が見ても兄妹って感じがするよね。

 僕は母さま似、リアムは父さまの子どもの頃に似てるっていうからね。


「……というか、普段は神さまたちのいるところにいるんだよね?あの時も、他の神さま……僕の兄弟神たちの近くにいたの?」

 みんなと話した時のことを聞いてみる。


「ええ、そうですよ。いつも私だけ話すことが出来るので、ディダ姉さまには毎回嫉妬されて大変です。今も後ろで騒いでいます。」


「そ、そうなんだ……。」

 さすが嫉妬をつかさどる女神さま。

 スローンさんとカナンの時も、かなり嫉妬してたらしいからねえ。


「後ろで騒いでいる割に、ぜんぜん声が聞こえないんだね?」

「はい、精神だけをつないでいるので。」

 なるほど。


 突然情報の海さんが、拳を顎につけて、嬉しそうにフフッと頬を染めて笑い出す。

「え?な、なに?」


「あ、すみません、ようやく私のことを聞いてくれたなって。聞いてくれればいつでも話すのに、オニイチャンぜんぜん聞いてくれないから、ずっと寂しかったんですよ?」


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ついに登場、作中ナンバーワンチョロインかつ、妹ポジション。

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