創生神としての力
第247話 初めて生み出したもの
情報の海さん!この場所を抽出した鉱物で直接埋められないかな?
隙間から水が漏れないように!
【回答、鉱物では抽出に時間がかかりすぎます。山全体を水瓶として隙間を埋める為に必要な鉱物の量からして、最も早い鉱物であっても60日はかかることでしょう。】
ううん……それじゃその間に死んでしまう人がたくさん出ちゃうよね。
──あ、待って!
ということは、埋めることは可能なの?
【回答、可能です。岩石と土砂で水が漏れる部分を固めればよいのです。岩石部分が全体の安定を受け持ち、中心の水を通しにくい土砂の部分で水をせき止めます。】
僕のスキルでそれが出来る?
ためた水を川に流したいんだけど。
【生命の海で、岩石と土砂を出せばよいでしょう。抽出よりも時間がかかりません。1箇所につき10分程度で可能です。それ用に穴をあければ、そこから自然と川に水が流れていきます。壊れないようにその周辺だけ、抽出した鉱物で固めるとよいでしょう。】
──よし!
「すみません、ちょっと行って来ます!
水瓶を作って戻るので!
時空の扉!83番目!」
僕は83番目の扉を出すと、1度中に入って扉を閉じて、受け取った地図の上空をイメージして扉を再び開けた。
冷たい風が一気に中に吹き込んでくる。
「うわあ……、怖っわあ……。」
壁に捕まってはいるけど、かなり怖い。
一歩でも踏み出せば、真っ逆さまだよ。
けど、これで具体的に全体を見渡せる。
上空から見た山は、山々が連なり合っていて、隙間を塞げばいい感じに水瓶になるね。
よし!生命の海!岩石と土砂!
1箇所穴をあけて、隙間を塞いで!
僕のイメージする通りに、左右に斜めに傾斜をつけた形で、岩石と土砂が山々の間の隙間をどんどんと埋めていく。
生命の海、抽出!鉄!
1箇所あけた穴にする予定のところを、鉄を抽出してそれで補強してやる。時空の海の中にも保管出来るけど、外にも出せるんだ。
穴の上の部分にいい感じに鉄を抽出するのはちょっと難しくて、左右や下のところよりもたくさん鉄を抽出して重ねて補強した。
岩石と土砂がどんどんと隙間を塞いでいって、なんなら鉄を抽出するのが1番時間がかかったかも。だから10分程度なんだね。
「よし!完成だ!
生命の海、抽出、真水!!」
出来上がった岩石と土砂の壁の中に、抽出した真水を入れてなみなみと満たしてやる。
すると穴から真水が川に流れて行って、少しずつ下流へと流れ出した。
これで同じように他の5箇所にも同じものを作れば、しばらくの間水問題は解決だね!
僕がすべての場所を回って、巨大な水の貯水瓶を作り上げ、満足していると、
【アレックス。】
突然情報の海さんが話しかけてきた。
なに?情報の海さん。
【この水の結界は、なんと名付けますか?
この世界には存在しないもの。初めてのものです。名前をつけてください。】
え?てことは、創生の海の開放条件が、ひとつクリア出来たってこと?
【回答、そうなります。】
やった!名前、名前ねえ、なんにしよう。
うーん、じゃあ、グンディかな!
水の女神さまの名前をもらおう!
【命名:グンディ。
水の結界。6箇所に真水をためた水瓶を置いた結界、または水瓶の名称。
グンディと唱えることで発動します。
グンディ、──発動。】
「え、えええ~っ!?」
6箇所の山々の水が光りだす。そしてそれぞれをつなぐようにその光が伸びて行ったかと思うと、それが空中に浮かび上がった。
地面の人たちが地上を見上げている。
そしてその光がエザリス王国全体を包み込み、透明なシールドを作り出した。
ぼ、僕、何を作っちゃったの?
【回答、悪しなるものをうち払うシールド、かつ、水の貯水瓶です。】
な、なんでそんなことに……。
すると、頭の中に、【スキルがレベルアップしました】、という文字が浮かぶ。
え?いまのでレベルアップ!?
【《スキルレベル28・多様性の海。》周囲の環境の親和性を10%高めます。】と、また、再び文字が浮かんだ。
【回答、創生神として、初めて世界にものを生み出したわけですから、そのスキル経験値は高いものです。】
そ、そういうことかぁ……。
【アレックス、スキル解放条件代替スクロールを使用して、スキルレベル29を解放していただけませんか。スキルレベル30は条件を達成済みです。それで創生の海が使用可用となるでしょう。】
え?そうなんだ。情報の海さんがそんなこと言うなんて珍しいね?
別に構わないけど……。なんで?
【あなたに作って欲しいものがあるのです。
……私の体です。】
体?情報の海さんと、面と向かって話せるようになるっていうこと?
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ちなみにグンディはサンスクリット語で水瓶です。
まもののおいしゃさん、最新話アップしました。こちらの作品からブックマークして下さった皆さま、リクエストを下さった皆さま、本当にありがとうございます。
なんとか年内に間に合いました。
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