第233話 大量の経験値回収及び配布
ルルゥさんも薄く目を開けて、気が付いたみたいだ。ハッと起き上がって周囲を確認する。もうだいじょうぶですよ、気絶していたんです、とルルゥさんに教えてあげた。
「クローディアさま!!」
ルルゥさんはそう叫ぶと、一目散に飛んで行った。きっとお城に向かったんだろう。クローディアさまもご無事だといいけど……。
「ミルキィ!!あいつらは!あいつらはどこなのにゃ!ミルキィ〜!!」
──あ。
エルシィさんが娘さんを探して叫ぶ。
「だいじょうぶです!娘さんは無事です!
時空の海!排出!ミルキィ嬢!」
僕が時空の海から、ミルキィ嬢を排出すると、エルシィさんが泣きながら駆け寄った。
「血の海!回復!!」
ミルキィ嬢を回復すると、パンパンに腫れ上がっていたほっぺたも腫れが引いて、エルシィさんソックリな女の子になった。
「ミルキィ〜!良かったのにゃ〜!あいつらに連れて行かれたかと思ったのにゃ〜。」
「お、母さん……。お母さんっ!!」
エルシィさんに気付いてミルキィ嬢も泣き出した。きっと安心したんだね。
ルシーアさんは、ダンジョンが閉じる前にと、ダンジョンの中に戻って行った。
「クローディアさまが心配だ、急いで城へ戻ろう。家が燃やされた人たちを、おそらく城に匿いつつ、戦っている筈だからな。」
叔父さんがそう言って、僕らはそれに頷いた。結論から言うと、クローディアさまは無事だった。出来るだけたくさんの国民を城にかくまって、シールドをはっていたみたい。
だからお城だけは燃えていなかったんだ。だけどハイMPポーションを飲みまくって、シールドし続けていたクローディアさまは、
「腹がいっぱいで……。うっ。
気持ちが悪い……。」
と、ルルゥさんにささえられながら、グッタリとしていた。
ミスの奥に隠れることすら辛かったのか、クローディアさまのお顔を見てしまった。
……もんのすっごい、美人!!!!!
叔父さん、なんでこの人で駄目なんだろ。
「……叔父さん。」
僕は深刻な表情で叔父さんに話しかけた。
「さっきの奴ら凄かったよね。まさか叔父さんがやられるなんて思ってもみなかった。」
「……ああ。俺もあんなのは初めてだ。動きは拙いのに、力もスピードも桁違いだった。
あいつらに対抗出来るのがアレックスだけというのは、かなり危険な気がするな。」
「それなんだけどね。僕、僕の経験値を、叔父さんたちに分け与えようと思うんだ。」
「──経験値を分け与える?
そんなことが可能なのか?」
「うん。レベルアップでこの間出来るようになったんだ。みんなが普通にレベル上げをしていたら、たぶん全然間に合わないと思う。
この国にまた奴らが来た時に危険だよ。」
「いくらクローディアさまのシールドがあるとは言え、守れるのは城の範囲内までだ。あいつらが来るたび毎回家が燃やされてしまうというのも、国民が困っちまうだろうな。」
「……奴らは僕のいるだいたいの位置を当てられる、占い師がついているんだと思う。
僕はここで商売をするつもりでいるから、立ち寄るたびに来られたらと思うとさ。」
「確かにそれはそうだな。」
「この国にある地下ダンジョンを、回れるだけ全部回って、根こそぎ経験値を奪って、それをみんなに配りたいんだ。どうかな?」
「急にレベルが上がっても体がついてこられないと思うが、それは奴らも同じことだ。戦い方は王家に鍛えて貰うとして、ある程度引き上げられるのであればそのほうがいい。」
「うん。クローディアさまのことも出来れば引き上げたいんだ。でもプライドもあるだろうし……。叔父さんから話してくれない?」
「分かった、俺から話そう。」
叔父さんは横たわるクローディアさまに、さっき起きた出来事と、僕の提案を話して聞かせた。クローディアさまは1度顔を見られているから、もう僕の前で隠さないみたい。
「そうか……。セオドアですら勝てぬ相手であったか……。確かにそれならば、わしらのレベルの引き上げは必要であろうな。奴らがまたこの国をまた襲って来ぬとも限らぬ。」
「この国の地下ダンジョンを、王家管轄下を含めてすべてアレックスに開放してくれ。
地下であれば、アレックスのスキルで一撃だ。大量の経験値が回収出来るだろう。」
「あい分かった。今から向かうのか?」
「奴らがこのまま引き返して来ないとも限らない。そのほうがいいだろうな。」
「承知した。あないさせよう。」
クローディアさまがルルゥさんをちらり、と見ると、ルルゥさんがコクッと頷いた。
僕と叔父さん、ルルゥさんは、スウォン皇国内の地下ダンジョンを回ることになった。
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