第234話 英雄候補者たちのレベルアップ

 王家の管轄下のダンジョンは、オニのいたダンジョンみたく、ポータルでダンジョンの近くまで移動が可能だ。その周辺を含めた、把握されているダンジョンを回って行く。


 僕は経験値100%上昇のスクロールと、スキル経験値100%上昇のスクロールを重ねがけしてから、ダンジョンに挑んだ。


「──生命の海。大海嘯!!」

 下の方から、ギャアッ!ギヒィッ!という声が響いてくる。しばらくしてシン……、としたら、今度は時空の海でアイテム回収だ。


 これを繰り返していくうちに、かなり経験値がたまった筈だよ。僕自身のスキルのレベル上げもしたいとこだけど、それよりまずはみんなの安全が大切だからね。


 ここは雲をも見下ろす山の上だから、ダンジョンは基本地下にあるものばかりだった。

 回った数はざっと50箇所程度。正直ポータルから出て山を登るほうがしんどかった。


「これで最後です。」

 ルルゥさんがそう言ったから、僕らはポータルまで戻って、お城に帰還した。


 お城に戻るとクローディアさまはまたミスの向こうにいらして、みんながその前に集まっていた。既にクローディアさまから話は聞いているから、なんかワクワクしてるみたい。


「──それじゃ、経験値を配ります。

 多様性の海。経験値配布!!対象者選定、僕が指を指した人!」


 ルルゥさんの本名はこの場で呼べないからね。苦肉の策でこんな風に指定することにしたんだ。銀色の扉が僕の頭の上に出現し、その扉が開くと同時にみんなが光に包まれる。


「な、なんにゃ……?なんか力がわいてくるような気がするにゃ?」

「体が軽くなったかのようですな。」


「僕もですぅ。」

「僕らどんだけ強くなったんだろうね?

 鑑定スクロールを使うのが楽しみだよ!」


 情報の海さん、みんなどのくらいレベルが上がったかな?彼らとも渡り合えそう?

 彼らってそもそもどのくらい強いの?


【回答、もともとはBランク冒険者の集まりですが、それを特殊な呪物によって、Sランク相当まで力を無理やり引き上げたようです。

 ただしこちらは現在のSランクまでの冒険者ギルドの分類に仕分けた場合のランクであり、過去のランクに相当させるのであれば、SSランクに相当します。

 基準とするなら、セオドア・ラウマンでもSSランクには到達していませんでした。

 しかし本来の戦闘経験が浅い為、身体ステータスが特別高いだけにとどまります。】


 SSランクが10人も……!!

 叔父さんが力で押し負ける筈だよ。

 それで、今は結局どうなったの?


【回答、現在の英雄候補者を検索してみるのが、もっとも分かりやすいでしょう。英雄になれる可能性が30%を超えていた場合、SSランク相当と言ってよいでしょう。】


 ──30%!?そんなんでいいの!?

 逆に言えば、魔王と渡り合える英雄は、それだけ強いってことなんだね。


 SSランクで30%かあ……。簡単には倒せないわけだよねえ。勇者や聖女を召喚したり生み出したりするわけだね。だってなり方を知ってても簡単にはたどり着けないもの。


 ということは、彼らの中にも英雄候補者がいるかも知れないってことでもあるんだ。

 ……実際とても協力してくれるとは思えないし、正直言うと頼みたくはないね。


 あんな人たちに力を与えたら、何をしでかすか分からないし、協力するフリをして、英雄になったらまた立ち塞がってくると思う。


 じゃあ、検索してみるね?

 情報の海さん!候補者がいたら教えて?


【回答、勇者、聖女、賢神、闘神、弓神、獣神、龍神に変化出来うる候補者について。


 現時点で勇者に変化する可能性のある者について。

 ●セオドア・ラウマン。

 勇者に変化する可能性、36.8%。


 現時点で聖女に変化する可能性のある者について。

 ●クローディア・アウフモス。

 聖女に変化する可能性、32.4%。


 現時点で賢神に変化する可能性のある者について。

 ●ルシーア・ベルデン。

 賢神に変化する可能性、9.3%。

 

 現時点で闘神に変化する可能性のある者について。

 半径40リオ以内に該当者がいません。


 現時点で弓神に変化する可能性のある者について。

 半径40リオ以内に該当者がいません。


 現時点で獣神に変化する可能性のある者について。

 ●エルシィ・マメオ。

 獣神に変化する可能性、38.1%。

 ●プッカ・ノーベル。

 獣神に変化する可能性、22.7%。

 ●ヒナ・アッカ。

 獣神に変化する可能性、24.5%。

 ●ルルゥ・シュモス

 獣神に変化する可能性、27.3%。

 ●ポチギ・ギギル。

 獣神に変化する可能性、21.2%。


 現時点で龍神に変化する可能性のある者について。

 半径40リオ以内に該当者がいません。


 以上です。】

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