第162話 叔父さんへの秘密の共有・その3
先に我に返ったのは叔父さんだった。
「な……なんだこれは……!?頭の中にたくさんの言葉が流れ込んでくる……!?
声だけでなく、文字として……!?」
僕は慣れたものだけど、叔父さんは初めてなんだね。レベルアップの音も、聞こえないって言ってたしなあ。
それにしても、神さまって、みんなこんなノリなの!?なんか思ってたより軽くない?
僕は祭司さまにスキルを教えて貰う時くらいの、荘厳な感じをイメージしていたのに。
なんかイメージ壊れるなあ。僕って神さまに世界を託されているんだよね?それにしてはイマイチ深刻さに欠けるっていうか……。
僕が神の使徒だなんて、ひょっとしたら冗談なんじゃ?そう言われたほうが納得出来るよ。だってこの人たちの様子から、世界が危機だなんて、微塵も感じられないんだもの!
【“わーるかったな!軽くて!
人間自体が俺たちをもとに生み出したものなんだから、神さまったって、そんなに違わねえんだよ。出来ることが違うだけだ。”
“まあ、そうねえ……。私も本当は、かたっ苦しいのが苦手だし……。そういうのはレスタトにお任せしたいわあ。”
“うむ。裁量と、存在する空間が異なる存在であるというだけであるな。
神もまた人であり、人もまた、神である。
お前たちの中に我々は存在するのだ。”
“存在する空間が異なるからこそ、心の中にしか話しかけることが出来ぬのだよ。”
──要するに、神と人は似て非なるもの、神とはおのおのの気持ちの問題だと、神々は申しております。】
最後のは情報の海さんの声だった。
な、なんか、わかったような、よくわからないような……。僕も宗教には、そんなに詳しくないしなあ。
「というか、あなた方はどなたですか?女神アジャリべさまがいらっしゃるのはなんとなく、分かりましたが、他の皆さまがいらっしゃることを聞いていなかったのですが。」
というかそもそも、情報の海さんと叔父さんに話してもらうつもりでいたから、神さまと話す予定じゃなかったからね!
【“ああ、そうか。女神アジャリべのお告げによる使徒かつ、神の子だもんな、お前は。
俺たちの声を聞いたことがないだろうな。
俺は狩りと鍛冶のガレシア。”
“私は大地と豊穣のミボルフィア。”
“美と愛のエリシアですわ。”
“健康と結婚のマルグスだよ!”
“酒と音楽のスローンです。”
“我は知性と発展のレスタト。”
“嫉妬と誘惑のディダだ。”
“そして私が生命と予言のアジャリべ。
各地に生まれし選ばれしものは、私以外の者たちが選んだ神の使徒たちなのです。
ですが私が使徒を選ぶのは初めてのこと。
あなたは選ばれしものの頂点に立つ存在。特別に選ばれた使徒なのですよ。
ななつをすべしもの、とは、7人の選ばれしものの頂点に立つ存在であるという意味もあわせ持つ言葉なのです。”】
だから選ばれしものはいつも7人なんだ!
アジャリべさま以外の神さまが、1人づつ選んでいたから!
というか、俺たちの声って言うより、アジャリべさまのお声すら、僕は初めてなんだけど……。いつもは情報の海さんとだけ、お話してる感じだしさ。
どこか懐かしい感じのするアジャリべさまのお声は、やはりすべての生きとし生けるものの母としての貫禄を感じさせた。
というか、この人が嫉妬と誘惑の女神、ディダさまなんだ……。宝石の精霊、カナンに呪いをかけたっていう神さま……。
【“アレックス、お前は何かを勘違いしているようだがな。今はカナンか……。カナンという宝石の精霊の娘が呪われた理由は、その精霊の娘自身にあるのだぞ?”】
低い声でディダさまが告げる。
え?そうなの?
僕が聞いてた話とは、少し違うね?
【“そうだ。神をも誘惑出来る力を持つ精霊など聞いたこともない。神を籠絡することは大罪だ。その力を奪い存在そのものを消すことも出来たが、記憶を消すに留めたのだ。代わりに呪いという罰を与えたまでのこと。”
“よっく言うよねー。単にスローン兄さんが彼女に夢中になっちゃったのが、面白くないってだけのくせして、ねえ?”】
健康と結婚の神さま、マルグスさまがケタケタと笑う。ようするに、嫉妬の女神ディダさまによる嫉妬は嫉妬なんだね、……うん。
【“まあ、神にまで影響を及ぼしたことに問題がないかと言うと、それはあるのは確かな事実だ。彼女には罪がある。”
“そうね、それ自体は本当のことだから、消されなかっただけでもよしとすべきだわ。
むしろディダの嫉妬による呪いがあったことで、彼女は消えなくてもすんだのよ。”】
そっか、カナン……。女神ディダさまの呪いを受けるという罰があったからこそ、消えずに済んだんだね。悲しい罰だけど、消えるよりかは良かったのかも知れないな。
────────────────────
スキルロバリー、本日月イチ自己ノルマ分更新しました。
こじらせ中年も本日最新話アップしました。
こちらも合わせてお目通し願えば幸いです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます