第161話 叔父さんへの秘密の共有・その2

「ああ。俺は家を出てすぐの年齢には、中級片手剣使いになれていないからな。」

 叔父さんよりも早く変化するなんて。

 やっぱりものすごく努力したんだろうな。


「ちなみに剣聖はね、スキル経験値と、武器クラス使用経験値の合計が1000000必要だったんだ。叔父さんはその条件を達成したから、剣聖に変化したってことなんだ。」


「まあ、そのくらいは経験値を稼いだかも知れないな。あまりよく覚えてはいないが。そういうことなら、あの子も確実に剣聖になれることが分かって良かったじゃないか。」


「そうだね。でも、叔父さんと同じく、変な使い方だからコケやすくはなっちゃうね。でもそれも、剣神になれば治るんだって。」

「剣神?噂でしか聞いたことがないぞ?」


「スキル経験値と、武器クラス使用経験値の合計が、10000000で剣神に変化するんだって。剣神に変化すれば、失われやすくなった平衡感覚がもとに戻るんだってさ。」


「剣神に……、なろうと思えば誰でもなれるっていうのか?ひょっとして、この俺も?」

 僕はコックリとうなずいた。


「叔父さんは、剣神に最も近いと思うよ。

 ……それでね、問題はこの先なんだ。」

「──この先?」


「うん。情報の海さんは、この先のスキルの変化についても、必要な条件を教えてくれたんだ。叔父さんのドジを治す方法や、──勇者を生み出す仕組みについてもね。」


「待て。勇者を生み出す仕組みだって?

 勇者はお告げを貰った人間が、神からスキルを与えられるものだろう?」


 叔父さんが困惑している。僕の話を信じてくれる叔父さんでこれだもの。この先他の人たちに説明することを考えたら、お告げの話を信じてもらうことがまず大変そうだなあ。


「……今回はね、ちょっと違うみたい。

 まずね、僕のこのスキルは、“選ばれしもの”と同じく、神さまの言葉を伝える為に与えられたものなんだって。」


「“選ばれしもの”と……!?

 待て、そうなると、つまりお前は、神の使徒ということに……、いや、まさかな。」


 僕はその言葉にコックリとうなずいた。

「そう……みたい。

 僕、神の使徒なんだって。」


「なんだって!?神の使徒は生まれた時点で決められているものだが、お前が生まれた時にはそんなお告げはなかったし、“選ばれしもの”は既に7人が揃っているんだぞ!?」


「うん。特別枠ってことみたい。たくさんの言葉を伝えるのが難しいから、このスキルを僕に授けたってことみたいだよ。短い言葉でしか、本来は伝えられないからって。」


「そんなことは……、いや、アレックスの言うことだから信じてやりたいが、さすがに、にわかには信じられんな。」

 叔父さんがそう言ってうなる。


 うーん、どうしたら信じて貰えるかな?

 あ!ねえ!!情報の海さん!叔父さんともなんとかして話せないかなあ?せめて情報の海さんと話せれば、違うと思うんだけど!


【回答、一時的に、スキル保持者以外の人間と、我々が会話をすることについて。

 可能です。

 また、本来使用可能なスキルレベルに達していない為、特別許可とします。

 ただし、SPが1分間につき、1減っていきます。】


 このスキルを使用して、スタミナを消費するのなんて初めてだよ……。特殊な技を使用したりすると、減るものではあるけど。


 それくらい特殊なことってことなんだね。

 うん!わかったよ!

 叔父さんに説明して欲しいな!


 ──ん?あれ?ちょっと待って?

 情報の海さん、今、我々って言った?

 我々?って、たくさんの人のことだよね?


【この念話は、スキル〈海〉、により、神々とのコンタクトを開始します。

 この念話は1分、ごとに、およそ、1、のスタミナを消費します。

 またこの念話は、今後の世界情勢を安全に保つ目的により、神々が采配を振るのに役立てるため、神々に記録されております。

 ご了承下さい。】


 え?え?え?

 か、神さまってどういうこと!?

 ちょ、ちょっと待ってええぇ!?


【“あれ?これもう、つながってるのかな?”


 “つながっておりましてよ、お兄さま。”


 “ヤッホー、アレックスー!

 聞っこえるー!?”


 “本当にこんな者に任せて良かったのか?

 今からでもセオドアに変えてはどうだ。”


 “ほらほら、みんな静かになさい、アレックスが驚いておるじゃろうて。”


 “ごめんなさいね……。

 改めまして、女神アジャリべです。

 ……?あら?アレックス?

 セオドアも、どうしたのかしら、2人とも動かないわ……。”


 “おーい、アレックスー。

 しっかりしろー。つながってんぞー?

 貴重な機会なんだから無駄にすんなよ?”


 “2人ともどうしちゃったのかしら……。”


 ──回答、現在のアレックス・キャベンディッシュ及び、セオドア・ラウマンの状態について。

 茫然自失と判断します。】


────────────────────


神さまとの念話、まさかのナ●ダイヤル。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る