僕の出生の秘密
第160話 叔父さんへの秘密の共有・その1
「それで?話ってなんだ。」
台所で紅茶を入れてくれようとする叔父さんに、ここじゃちょっと……と、アイテムボックスの海に叔父さんを誘い出した。
情報の海さん、中に入れる人を、叔父さんと僕に限定して!!
僕は情報の海さんにそうお願いする。
入れる人を指定できると言われたからね。
レグリオ王国では、正直レンジアについて来てもらえて助かったけど、今回はまだ王家の影には聞かせるわけにはいかないからね。
まずは叔父さんと話してからだ。
鉄の扉を出して、叔父さんに先にアイテムボックスの海に入ってもらうと、僕の後ろで見えない壁を触っているような音がする。
たぶんレンジアだ。ついて来ようとして、入れないことに困惑してるんだろうな。
僕は、ゴメン!と片手拝みに謝ってから、そっと鉄の扉を閉めた。
「これか……!!噂の魔道昇降は……!!」
叔父さんが、四角い螺旋階段の、空いた空間に出来た魔道昇降を見て、子どもみたいに目をキラキラさせている。
ボタンを押すと、扉が音もなくスッと開く仕組みになってるんだ。中はせいぜい大人が何人か入れるくらいの広さしかない。
内側の壁には階層を選ぶ為のものが何もなくて、扉の上の方に、0とだけ書いてある。
これは時空の扉の順番を示してるんだ。
上から数えると、鉄の扉を入ってすぐのところには、なんの扉もないからね。
叔父さんとともに、魔道昇降の中に乗り込むと、扉をしめるボタンを押した。
「──73番目。」
僕がそう言うと、瞬時に0と書かれていたところに、73と表示される。
叔父さんには聞こえていないんだけど、僕の頭の中では、ずっと情報の海さんの声がしてるんだよね。この魔道昇降の使い方も、情報の海さんが教えてくれたんだ。
73番目の扉の階層につくと、自動的に扉が開いた。
「おお、こりゃあ凄いな……!」
叔父さんが感心している。
僕と叔父さんが大切な話をする時には。
お祖父さまの扉を利用することが、僕らのなんとなくの暗黙のルールになってるんだ。
別の扉の中にいても、わざわざお祖父さまの扉の中に戻って、叔父さんと話をすることが多いかな。なんだか落ち着くからね。
「──それで?話ってなんだ。」
叔父さんはお祖父のアイテムボックスの中の、木箱の上に腰掛けて足を開いた。
僕も別の木箱の上に腰掛ける。
「うん。叔父さんのドジの理由にも、つながってる話だったんだけどね。」
「俺のドジの理由?」
叔父さんは不思議そうに首を傾げる。
「叔父さんが何もないところで、突然ころぶようになったのってさ、上級片手剣使いに、スキルが変化した頃からじゃなかった?」
叔父さんがその頃のことを覚えているのかどうか、それとなく聞いてみる。
「……言われてみると、そんな気もするが、それがどうしたというんだ?」
「僕のスキルね、あれからまた、変化したんだ。新しい力は、──情報の海。」
「情報の海?」
「うん。この世界に漂う情報を集めて、教えてくれるスキルだよ。そのスキルが教えてくれたんだ。叔父さんのドジの理由を。」
「……ちょっと待て、どういうことだ。」
「片手剣使いが別の武器を使って貯めたスキル経験値が1000、それとスキル経験値自体が全体で100000あると、スキルが中級片手剣使いに変化することが分かったんだ。情報の海の力によってね。」
「なんだって!?俺のスキルの変化は、明確な理由のあるものだっていうのか!?
まさか……いや、ここまでのスキルだ。そういうことが分かってもおかしくはない。」
「うん。だけど本来の使い方じゃあないからね。異なるスキルの使用方法により、平衡感覚が失われやすくなるんだって。叔父さんが何もないところでコケる理由がこれだよ。」
「……体がおかしくなったのかと思っていたんだが……。あったんだな、理由。」
叔父さんかポツリとつぶやいた。
「それと、剣聖に変化するのにも決まりがあるんだ。」
「剣聖もか……。いよいよもって、あの子にも可用性が出て来たな。」
叔父さんの言うあの子っていうのは、ヒルデのことだ。ヒルデは叔父さんに憧れて、片手剣使いにもかかわらず、双剣を使っていたからね。そのことを言っているんだ。
「叔父さん、ヒルデね、こないだ中級片手剣使いになったよ。このまま頑張ったら剣聖にもなれると思う。……何もないところで、コケるようには、なっちゃうだろうけど。」
「もうか!?あの子、アレックスくらいの年頃だろう?俺の時より早いぞ!?」
叔父さんが驚愕している。
「そうなの?じゃあヒルデって凄いんだ!」
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無事全身麻酔の手術終わりまして、ベッドの上で書いております。
寝返りと歩くのががキツイですが、わりと元気です。
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