第62話
再び作戦室。
新たな戦力を手にしたアンたちは、パペット迎撃に向けて、対処法を考えていた。
「では私がA軍、おじぃがB軍でユナがC軍ということでいいですか」
「大丈夫」
「うむ」
作戦上の配置も決まりつつあった。
東部から見て左方向から攻めてきているパペットの軍勢をA軍。
ここは道中に河川が位置することから、スカジの能力を発揮できるだろうとアンが配置された。
次の中央突破を目指して向かってきているのがB軍。
おじぃが担当し、ヨイチの到着を待ちながら対処することとなった。
ちなみに戦車はなんと三台も作られており、護衛の人たちもこれに乗って加勢してくれることで話がついた。
だがあくまでも時間稼ぎ。
ヨイチの戻ってくるまで、敵の動きを押さえることが目的だ。
最後に右方向から向かってきているパペットの軍をC軍とした。
誤差ではあるがもっと早く東部に到着する予定であるため、クロノスの能力で一気にたたける可能性があるユナを配置した。
「各自準備を整えて明日、決行ということで」
「分かった」
スカジの提案であった、待機して迎え撃つか、三方向で対処するか。
答えは後者になった。
待機して迎え撃つには戦力差があまりにも大きい。
ヨイチがいつ戻ってくるかもわからない状態で、しかもここ東部はマグネイシアに
残された最後の砦。ここを落としてしまえば完全にパペットの軍勢に敗北することを意味する。
だから、アンたちは三方向でパペットの軍勢がそれぞれ到着する前にたたくことを選んだ。
決行は二十四時間後。
各自装備や戦車のメンテナンスと敵の動向を確認しながらの襲撃になる。
「おぬしらにはこれを渡しておこう」
おじぃはユナとアンに黒い製品を手渡した。
「これは?」
「耳につけるものでな、トランシーバーじゃとおもってもらえたらいい」
そう言われた二人は、イヤホンを耳につける。
「ドローンからの情報も音声で伝わってくる。敵の動向も知らせてくれるからの。何かあったらこれで連絡をとりあうんじゃ」
「わかりました」
「ありがと、おじぃ」
「それじゃあ、わしは戦車のメンテに行ってくる」
「あ、おじぃ、クロノスの調整もお願い」
そう言いながら二人は作戦室から再び出ていった。
取り残されたアンは、椅子にもたれかかりながら、タブレットとモニターのパペットの軍勢を注視する。
『アン様、少しお休みになりましょう。多分長丁場になりますから』
「そうだね、ちょっとだけ寝ようかな」
目をつむりながら深く深呼吸をする。
マグネイシアにきて忙しく動いた反動からかアンはまどろみの中へ短時間で落ちていく。
「ヨイチさん…」
眠るたびにその名前を呼ぶことをアン自身は気づいていない。
無意識に向けられたその信頼から起こるその行動をスカジだけが知っていた。
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