第48話
二日後…。
三人とスカジは、オオナムの検問所にいるリザードのシェリーを迎えに来ていた。
この後の長旅のために、二日間で仕入れた道具をキャビンに詰め込んでいく。
さすがに急ぐとなると毎回ホテルや旅館に泊まることはできない。
野営のする数は増えるだろう。
ましてや人が増えたために、その量は多くなっている。
食料に日用品…、三人分になるだけで、こんなに量が増えるものだとは、ヨイチも想像してなかった。
「多いですね」
「仕方ないよ」
「怪我は大丈夫ですか?」
「うんもうちょっとかな…。ここの温泉のおかげでだいぶ良くなったよ」
そういいながら道具を詰め込む二人をよそに、ユナは早くもシェリーをてなづけていた。
――すごい…、シェリーがお腹見せるなんて初めて見た…。
完璧に懐柔されてしまったシェリーを優しくなでながらユナは次の行先の話をする。
「とりあえずひとっ走りで、次の国までいく」
「機械工国マグネイシアだね」
なんでもユナの結剣、クロノスの調整のために寄りたいのだそうだ。
今回のグレシャー帝国への上陸はユナも参加するため、その前に最終チェックをということらしい。
「乗った?」
「うん」
「はい」
今回の操縦はユナだ。ネプトュームの行き方はユナがララナットに教えてもらっているのでわからないヨイチ達はまかせるしかなかった。
ヨイチは怪我の状態がまだ上がらず、アンの操縦は壊滅的なために、一瞬でシェリーを手懐けたユナに白羽の矢がたった。
――さすがにユナよりは安心して操縦でき…、は?
おもむろに鞘を抜いたユナはつぶやいた。
「早送り」
「「『は?』」」
時結剣クロノスの効力がのったシェリーは、ヨイチを乗せたキャビンを引いて、時を置き去りにした。
猛スピードで走るキャビン。
残像を残すシェリーの足。
目を回すアン。
なぜかいつもより青いスカジ。
「「『うわぁぁぁぁぁぁぁーーー!!』」」
破天荒なキャビンは白い湯気がわく温泉街を、時間ごと置き去りにしていった。
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