デートの後
「楽しかったようでよかったですね」
エレオノーラが帰った後、ミカエルに今日のことを話すとにこにことしながら聞いてくれた。
「幸せだったけど、エレオノーラ様はとても大胆で、いつも心臓がもたない程ドキドキしちゃうんだ。それに世継ぎ……どうやって出来るか、エレオノーラ様は知っているのだろうか」
年頃になりレナードも話には聞いていたが、とても恥ずかしいと思う気持ちが今のところ強い。
「知っているんじゃないですか? 女王の大事な役割の一つだもの。でも兄様が羨ましいです、ティアシーア様はそのように言ってくれた事がないので、いつも私が追いかけるしかない」
ふぅっとミカエルはため息をつく。
「恥ずかしいのはわかります。でも私だって、たまには言ってもらいたいなと期待してしまうんですよね」
ミカエルの言葉にレナードは省みる。
(自分はエレオノーラ様に気持ちを伝えられているだろうか)
ミカエルの様子を見るに気持ちを伝えないと不安がらせてしまうようだ。
いつも気づけばエレオノーラからなのだが、本当は言ってほしいなどもあるかもしれない。
予期せぬ時に本心を伝え、エレオノーラを赤面させているのだが、レナードはそのどれもが自覚がないので、あまり覚えていない。
今度から恥ずかしがるのを止めて、伝える努力をしていこう。
「本日は大事な時です。共に頑張りましょうね」
エレオノーラは、そっとレナードの手を包む。
澄んだ海のような青い色のドレスには銀と金の刺繍がなされていた。
ドレスの至るところにサファイアをメインとした数々の青い宝石がつけられている。
レナードを意識し、作られたドレスだ。
レナードもまた青を貴重とした服に金と銀の刺繍がされていた。緑色のカフスボタンにはスフォリア家の紋も入っている。
いずれはここにアドガルム王家の紋が入るだろう。
その時が楽しみだ。
レース手袋越しにエレオノーラの温もりが感じられ、安心感を覚える。
「ありがとうございます、エレオノーラ様。いつもこのような気遣いをして頂いて。とても優しいあなたが僕は大好きです」
素直に、思うままに気持ちを伝えれば、エレオノーラの頬が朱に染まる。
「どうしたのですかレナード。もうお酒でもお飲みになったの?」
急な言葉にエレオノーラは取り乱す。
「いつも僕が言われる方だから偶には僕から言おうと思いました。愛しています、エレオノーラ様」
そう伝えればますます赤くなった。
(やはりエレオノーラ様は可愛いな)
勇気を出して言って見るものだ。
レナードは満足する。
「お二人共顔が真っ赤ですよ、もうすぐ入場なのですから程々に」
「へっ?」
キュリアンの言葉に漸く気づいた。
レナードも顔が真っ赤になっていたのだ。
本日は国外からも主賓を招いたパーティだ。
国内での婚約披露はしていたが、国外の方には手紙しか出していない。
それ故、次代の女王の婚約者披露と言うことで集まってもらっている。
もちろん国内の貴族も、国外からの賓客をもてなす為と交流をはかってもらう為招いている。
人が多くなれば、警備や費用もかさむが、どうしても今日のパーティは開かなければならなかった。
全てはレナードを皆に認めさせるためなのだ。
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