第73話 脱出劇

僕は【光魔法】により【ライトソード】を発動させ、僕の望むサイズの光の剣を作り出す。


この【ライトソード】は高性能な武器に比べたらコスパが馬鹿みたいに悪く、魔力を常時消耗するし、高性能な切れ味や硬度を上げれば更に魔力を消耗するのだ。


しかし、その代わり魔力消耗を度外視すれば便利な魔法でもある。


そして、シエルみたいに武器に【属性付与】をしなくても【ライトソード】はそもそもが【魔法剣】なので、技術関係無く最初から【光属性付与】がされていて、ゴブリンキングやゴブリンクイーンみたいに対物理や対魔法に特化したモンスターでも関係無くダメージが入るという、ゴブリンクイーンを倒すにはとても便利な【魔法】だ。


僕はゴブリンキングから離れる様にゴブリンクイーンの方に回り込み、【魔法】を準備していたゴブリンクイーンを斬りつける。


「グガアアア!!」


あっ、【魔法】が止まったって事はキャンセルか。


ラッキー!


僕の攻撃によりゴブリンクイーンの【魔法】が5%の確率で発生する【魔法】キャンセルで無かったことになり、ゴブリンクイーンは激しく怒りだす。


しかし、僕の怒りはゴブリンクイーン達の比ではない程に怒り狂っている。


それは闇の使徒はもちろんだが、サリが存在を消してまで助けなくてはいけない程に弱い自分自身に対しても怒っていた。


僕がもっと日々のダンジョン攻略をしっかりとやってレベルを更に上げていれば結果は違ったかもしれない。


それに僕ならばもっとハイリスクでも効率の良いダンジョン攻略が出来たかもしれないと、後悔している。


僕はサリから貰った力で絶対にこの世界から脱出してやる。


そうじゃなきゃ、サリの犠牲が無駄になってしまう。


僕は更に力強く【ライトソード】でゴブリンクイーンの胴体を切り裂いていく。


「グギャアア!!」


僕がゴブリンクイーンを斬りつけていると、ゴブリンキングも怒りながら巨大な剣で斬りつけて来るが、僕はその攻撃をギリギリで躱しながらゴブリンクイーンをどんどん斬りつけていく。


次第にゴブリンクイーンの胴体から大量の血が流れ、動きが鈍くなっていく。


……そろそろ効いてくるか?


「グギャ?」


ゴブリンクイーンがフラフラしていると、突然身体がビクッと強張る。


よし、効いてきたな。


ゴブリンクイーンやゴブリンキングを倒すときに一番苦労するのが、残りHPが1割を切った時には発動する、狂乱なのだ。


狂乱は、思考力が劇的に下がる代わりに、攻撃力や防御力が数倍にも上がり、相手を倒すまで狂乱が解除されないというプレイヤーが使うには物凄いハイリスクな能力だが、敵が使うと弱点であるはずの思考力低下がランダム攻撃に変わり、何をして来るか分からないのだ。


そして、なによりヤバイのは、防御力の上がり具合で、防御力は狂乱により2.5倍にも増加してしまい、普通に倒すのはかなり難しい。


そこで活躍するのがスリップダメージだ。



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