第72話 サリ
ゴブリンクイーンからの攻撃により絶対絶滅の状況の僕の前に、突然サリは現れ、ゴブリンクイーンの攻撃を防いでくれた。
『サリ! 今まではどこに!』
『カイン様、説明したいところですが、私には説明する時間がありません……』
『え? 時間がない?』
サリは申し訳無さそうな表情になる。
また何処かに行ってしまうのだろうか?
『はい、寂しいですがカイン様とはお別れです』
『お別れ? あ、サリの身体が……透けてきた?』
ジワジワとだけど、サリの身体が薄くなってきている。
どういう事だ?
『カイン様とはお別れですが、私の存在はカイン様の中で永遠に……』
パリンッ!!
硝子が割れるかの様な音と共にサリの身体は砕けて消えてしまう。
え?
どういう事?
僕は目の前で起きた現象に理解が追いつかない。
僕を守る事でサリが消えた?
いや、あれはサリがよく使っていた光魔法の【ライトウォール】だ。
あのレベルの魔法ならば、サリからしたら何枚砕けようと痛くない筈だ。
じゃあ、やっぱりサリが僕の前から消えていた事に関連していると考えるのが自然だろう。
【サリエラエルの肉体消滅によりリタイアが発動しました】
は?
【祝福】の【リタイア】が発動?
【リタイア効果により、天使の欠片、光魔法、女神の加護を取得しました】
???
【サリエラエルの知識を一部取得しました】
ああ……
サリエラエルの知識の一部がホッパーの頭の中に流れてきた事で、何故サリが消えたのか、サリに何があったのか、この地球が様な世界の真実、闇の使徒、この世界が崩壊に向かっている事……。
そういう事か。
……残り時間は、約45分か。
僕は光魔法の【ライトヒール】をシエルに使う。
【ライトヒール】は光魔法の基礎みたいな魔法だが、魔力を込めれば込めただけ回復速度が上がるといいう事実を知り、僕はかなりの魔力を【ライトヒール】に込める。
すると、重症レベルの傷がみるみると塞がっていく。
まあ、重症が瞬時に全快する様な便利な魔法でも無いので、とりあえずは重症からは脱したレベルで我慢する。
「聖剣、動ける?」
「……何とか移動は出来るが、戦闘になると無理だ。体内の傷が開くだろうな」
聖剣はシエルの身体の状態を正確に把握しているみたいだ。
これならシエルの身体を無理に使う事も無いだろう。
「移動さえ出来れば大丈夫。あのゴブリンクイーンだけ倒したら、全力でこの建物から離れるからさ」
「建物から離れるのは良いが……その後はどうする? それにゴブリンキングが追ってくるのでは無いか?」
「出来れば時間的にはゴブリンキングは無視したいけど、もし追ってくる様なら倒します」
時間がギリギリだから、出来れば耐久力のあるゴブリンキングは無視したいけど、追ってくるのを無視したらシエルが逆に危ない。
「ゴブリンキングも時間さえあれば倒せるのか? 我は【巨人殺し】がもう撃てないぞ?」
「はい、分かってます。ゴブリンクイーンさえ倒せばゴブリンキングも倒せる筈です」
ゴブリンクイーンさえ倒せばアレも入ってくる筈だしな。
「?」
聖剣は僕の答えに怪訝な表情をしていた。
【名前】カイン・シュバルツ
【レベル】80
【祝福】バットエンド
リタイア
タイムアップ
【技能】中級武器知識
上級魔法知識
上級薬草知識
上級錬金知識
光魔法
【権能】神の眼Lv.4
“アイテム鑑定”、“モンスター鑑定”
“悪意鑑定”
天使の欠片
レベルシステム
レベルアップ特典
成長強化プログラム《15歳まで》
【加護】女神の加護
【装備】魔杖 “魔力増加”“属性強化”
魔銃 “魔法強化”“速度強化”“長距離射撃”
魔剣 “攻撃力”“属性強化”
魔鎧 “回避力”“体力回復”
靴 “移動速度”“消音”
指輪 “魔法強化”“属性防御力”“器用さ”
【ステータス】
【名前】シエル・スライダー
【種族】聖人Ⅰ
【ギフト】剣聖
光属性
全能力大幅上昇
【制約の契】聖人化
自然回復Ⅳ
聖剣・魔剣の装備不可
【装備】聖剣クラウ・ソラス Lv.2
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