第70話 サリエラエル

【サリエラエル】



『ここは?』


カイン様がゴブリンテリトリーに入った瞬間、私は見知らぬ場所に飛ばされていた。


ここはさっきの地球に似ているけど、全くの別空間だというのはすぐに解ったけど、どこなのかは全く解らなかった。


いくら調べても、この空間の詳細が解らない。


だとすると、ここは別次元の亜空間……?


私の使う【ストレージ】のかなり上位互換みたいなものかも。


私は低級天使ではあるけど、一応は上位個体なので、私に干渉出来るのは上位個体か神のみ。


だけど、神は地上には多少の干渉しか出来ない筈。


私に干渉するのは多少ではないから、上位個体だけ。


『なら、これは神の権能による強制転移?』


しかし、誰が私を亜空間に……?


誰かは分からないけど、私を閉じ込める理由はきっとカイン様への妨害行為。


だけど、私には低級天使では持ちえない【天使の権能】を女神様より緊急時用に使えるよう、特別に授かっている。


この【天使の権能】は上位個体の権能だから、地上で私を邪魔する事は出来ない。


私は低級天使としての天使の権能を発動させ、カイン様の元への転移を始めた。



……。


『え!? 天使の権能がキャンセルされた!?』


私は【天使の権能】がキャンセルされた理由が全く解らなかったので、再度発動させるが、やはりキャンセルされてしまう。


『くっははっ!!』


『だ、誰!?』


私は話しかけてきた方へと振り向くと、そこには一人の真っ暗闇な男が浮かんでいた。


『え、アナタは……闇の使徒?』


あの真っ暗闇なオーラを全身に纏う上位個体は、闇の神々から創られし闇の使徒。


『ああ、正解だ。小さき天使ちゃん。俺は闇の13使徒、ヘトール様だ』


『なんで闇の使徒が地球にいるのよ!? 闇の神々は地球とは管轄が全く違うから干渉出来ない筈よ!』


神々にも管轄エリアというものがあり、それを無視して干渉すれば、神でさえ恐れる自体が発生してしまうので、相当イカれた神でなければ、管轄エリア外の世界には干渉しない。


そして、地球や【インタセクト】は女神様が属する神々の管轄エリアで、闇の神々は絶対に干渉しないはず……


『くっははっ! 小さき天使ちゃんの言っている事は正しい! 俺達でも地球に干渉するのは無理だろう』


『え? なら、どうやって私に干渉したのですか!』


『ふははっ! 騙されるやつは、常に自分が正しいと思ってるから駄目なんだよな! 小さき天使ちゃんよ……そもそもの前提が間違ってる』


『前提が間違ってる……?』


どういうこと?


前提が間違ってるって、いったい?


闇の使徒は地球に干渉出来ない。


それは間違いないはず。


なら、なんで闇の使徒は干渉出来るの?


ん……あっ!?


『まさか……ここは地球じゃない?』


『くっははっ! 大正解だぜ、小さき天使ちゃん。ここはクリエイトワールド! そっちの言い方で言えばダンジョンだな。まあ地球の東京をベースに大規模コピーするのには苦労したけどな!』


『これがダンジョン? 全然解らないなんて信じられない……しかもコピーする技術が?』


私はこれがダンジョンだと聞いてびっくりする。


しかもダンジョンとは神々の使徒達が制作し運営しているが、実際にある世界などをコピーするには情報量が多いから不可能って聞いたけど……


『ああ、ちょっとした裏技があるんだよ。てなわけで、邪魔な小さき天使ちゃんはここに監禁させてもらうぜ』


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る