第69話 ゴブリンクイーン②
「は?」
僕はゴブリンキングへ【巨人殺し】で斬ろうとした瞬間、爆発と共に吹き飛ばされるシエルの姿を見て、いったい何が起きたのかさっぱり分からなかったけど……周りを見渡して理由が分かった。
「グシャシャャ……」
シエルが倒した筈のゴブリンクイーンが、魔法を放っていたのだ。
「マジでクソゲーだな……」
シエルの攻撃はゴブリンクイーンの首筋にしっかりと刺さり、即死しないにしても、動けなくなり、いずれは死ぬだろうと考えて放置していたのだけど……ゴブリンクイーンの首筋を見てみると、傷は綺麗に消えていたので、ゴブリンクイーンが回復魔法で治したんだと理解した。
しかし、【ゴブリンキングダム】内ではゴブリンクイーンが回復魔法を使うことは無かったので、僕はゴブリンクイーンが回復魔法を使わないと、勝手に思い込んでいたは完全に僕のミスだ。
シエルの方を見ると、意識はあるみたいではあるが、服はボロボロでダメージが大きいのか立ち上がるのも大変そうだ。
そして、もうすぐにゴブリンキングの【凶暴化】が始まってしまう。
【凶暴化】が始まれば、全ステータス3倍、無差別攻撃などぶっ壊れ性能ボスになってしまうのだ。
まあ、唯一の救いは【凶暴化】すると回復無効とかダメージ倍増といったデメリットもあるからゴブリンクイーンの回復魔法で無限に回復される事はないが、それでも絶望的な状況なのは変わらない。
どうする?
いくらゴブリンキングの攻撃パターンが分かったところで、全ステータス3倍になってしまうと、攻撃自体が見えない可能性がある。
聖剣の【巨人殺し】も期待は難しい。
マジでヤバイ。
全く解決策が思いつかない。
「グゴオオォ!!!!!!!」
あ、ガチでヤバイ。
ゴブリンキングの【凶暴化】が始まった……。
僕は2度の人生だから、まだ良いけど……シエルだけでも助けられないかな?
思い切って何処かに吹き飛ばした方が生き残る可能性があるか?
いや、こんな高さから落としたら、いくら聖剣の意識があったとしても助からないか……。
そんなシエルの事ばかり考えていたら、凶暴化したゴブリンキングは僕に向かって大剣を振り上げ……
「ああ……」
本来なら視認出来ない程のスピードのはずの剣筋がゆっくりと見えていた。
これが走馬灯ってやつなのか?
ゆっくり見えるのとは反対に、体は全く動かない。
ああ、これは確実に死んだな。
カインに転生して約5年か……短いけど、楽しい人生だったな。
僕が諦めてしまった瞬間。
『カイン様!!』
ガギンッ!!
『え? サリ?』
「グゴッ!?」
諦めていた僕の前に、光の防御壁を展開し、ゴブリンキングの攻撃を防いでくれたサリが現れた。
【名前】カイン・シュバルツ
【レベル】80
【祝福】バットエンド
リタイア
タイムアップ
【技能】中級武器知識
上級魔法知識
上級薬草知識
上級錬金知識
【権能】神の眼Lv.4
“アイテム鑑定”、“モンスター鑑定”
“悪意鑑定”
レベルシステム
レベルアップ特典
成長強化プログラム《15歳まで》
【装備】魔杖 “魔力増加”“属性強化”
魔銃 “魔法強化”“速度強化”“長距離射撃”
魔剣 “攻撃力”“属性強化”
魔鎧 “回避力”“体力回復”
靴 “移動速度”“消音”
指輪 “魔法強化”“属性防御力”“器用さ”
【ステータス】
【名前】シエル・スライダー
【種族】聖人Ⅰ
【ギフト】剣聖
光属性
全能力大幅上昇
【制約の契】聖人化
自然回復Ⅳ
聖剣・魔剣の装備不可
【装備】聖剣クラウ・ソラス Lv.1
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