第66話 ゴブリンキング③

「聖剣が何でシエルのなかに……?」


普段のシエルならば、表情を見れば何を考えているか8割位は分かる位に、顔に出るのに今は完全な無表情だったから、すぐにシエルではないんだなと切り替えが出来ていた。


しかし、何故聖剣が?


ん?


少女に乗り移る聖剣……?


「我はマスターを護る為、一時的に少ない力を使い表に現れたに過ぎない。故に我に出来るのはマスターを護るのみ……」


「なるほど……この話し方、聖剣の設定、そして少女をマスターと呼ぶって事は……あのゲームか」


まさか、ここに来てあのゲームが現れるとは……


これは、チャンスだ。


「カイン? 何故この危機的状況で笑う」


「ああ、勝率が少なかった状況だったけど、聖剣のおかげで勝率がかなり上がったからかな」


「我は戦う力など無いぞ?」


「僕の手を握って」


僕はゴブリンキングを見ながらも、聖剣に向かい手を差し出す。


ゴブリンキングは、飛ぶ斬撃を連続で放った後、近くに敵が居なければ、かなり長い硬直時間があるので全てが僕達の有利な状況に転がっていた。


「……解った」


聖剣は僕に戸惑いながらも理由は聞かずに手を握ってくれた。


よし、僕はすぐに【錬金魔法】でシエルの中にいる聖剣の核がある場所をサーチする。


これは地中にある特定金属を探すやつの応用版だ。


……やはり聖剣の核はシエルの心臓付近にのみあるんだな。


これで聖剣の核が数カ所に別れていたらヤバかったけど、これなら……


「!? カイン……何をした? 我の力が回復したぞ?」


聖剣の声は驚いている感じだけど、チラッと顔を見ると無表情なシエルが居るので、なんとも不思議というか、怖い感じがした。


「まあ、説明は後にするけど、とりあえずはゴブリンキングを倒そう。聖剣も力さえ回復したなら戦えるでしょ?」


「そうだな。しかし、我は何を? 我の生半可な攻撃では物理耐性のあるゴブリンキングには効かないのだろう?」


「うん、だから聖剣には【巨人殺し】を使って欲しいんだよ」


「何故、我の必殺技を……いや、それより今のマスターの肉体で【巨人殺し】を完全な状態で発動するには……最低でも10分……いや、15分はかかる」


「なるほど、15分で良いんだね」


ゴブリンキングを倒せとなると、僕の攻撃力では力を溜めながら攻撃を躱して、隙をみて攻撃を放つという作業を何百回と繰り返さなくてはいけないのだが、回避するだけで良ければ、ゴブリンキングは他のゴブリンに比べたら楽な方である。


「正気か? 一撃でも喰らえば重症だぞ?」


「大丈夫だよ。僕は回避が得意なんだ」


だって、ゴブリンキングは範囲攻撃を使えるが何故か範囲攻撃を使わないし、魔法だって無いのだ。


だから、気軽に接近出来るし、攻撃パターンは熟知している。


あとは、集中力と風魔法による速度アップさえあれば、問題無い。





【名前】カイン・シュバルツ

【レベル】80

【祝福】バットエンド

    リタイア

    タイムアップ

【技能】中級武器知識

    上級魔法知識

    上級薬草知識

    上級錬金知識

【権能】神の眼Lv.4

    “アイテム鑑定”、“モンスター鑑定”

    “悪意鑑定”

    レベルシステム

    レベルアップ特典

    成長強化プログラム《15歳まで》

【装備】魔杖 “魔力増加”“属性強化”

    魔銃 “魔法強化”“速度強化”“長距離射撃”

    魔剣 “攻撃力”“属性強化”

    魔鎧 “回避力”“体力回復”

    靴 “移動速度”“消音”

    指輪 “魔法強化”“属性防御力”“器用さ”

   


【ステータス】

【名前】シエル・スライダー

【種族】聖人Ⅰ

【ギフト】剣聖

     光属性

     全能力大幅上昇

【制約の契】聖人化

      自然回復Ⅳ

      聖剣・魔剣の装備不可

【装備】聖剣クラウ・ソラス Lv.1

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る