第64話 ゴブリンキング
僕はシエルがダイブしてから、ずっとシエルの動向を風魔法でパラシュートを操りながら見ていた。
本当は一緒に飛んだ方が不意打ちにもなるし、倒せる成功率は上がるけど、シエルが無事にゴブリンクイーンを攻撃出来る様に集中しなくてはいけなかったので、仕方なく時間差ダイブにした。
あと3秒位でゴブリンクイーンに攻撃出来るな……あっ!?
ゴブリンクイーンはシエルに気が付いていないが、ゴブリンキングがシエルに気が付き、持ってる剣で攻撃しようとしている!
あれはゴブリンソルジャーの対空迎撃能力・空旋。
空旋はジャンプ斬りなどをしてくるやつに対抗するもので、迎撃能力は凄く高い。
それに、あのタイミングはヤバイ!?
そうだ、アレをやろう!
僕は風魔法の他に土魔法の応用で、シエルの持ってる聖剣の重量を10倍にする。
これは聖剣を作った時に仕込んでいた8個のギミックの中のひとつで、もしかしたら使えるかもと、僕だけが最大で重量を10倍まで変更出来る様にしていたのだ。
まさか、いきなり使う羽目になるとは思わなかったけど……よし、シエルはゴブリンキングの攻撃を躱し、ゴブリンクイーンの首筋に聖剣を刺したぞ!
僕はそれを確認後、すぐに都庁からダイブする。
シエルのときはパラシュートで行ったが、僕はマントをムササビの様に斜めに滑降していく。
うわあああっ!!
マジで怖い!!!
前世でバンジージャンプはやった事があったから、何となくイメージは出来ていると思っていたけど、紐無しの滑空ダイブとは全くの別物だった。
僕が恐怖に耐えながら目標であるゴブリンキングの方を見てみると、シエルがゴブリンキングに殴られる瞬間で、ヤバイと思った。
だけど、これ以上は速く出来ない……
くっ、シエルは殴られた事により吹き飛ばされ、動けなくなったのか、その場で倒れたままだった。
しかし、不幸中の幸いで、あれが剣で攻撃されていたら今頃シエルは死んでいたかもしれない。
あれはゴブリンキングが怒り狂った合図で、怒り狂った後の初撃は武器や能力を使わずにパンチかキックを必ず使う仕様だった。
やはり、この地球もゲームと同じなのだろうか?
僕にはこの地球が偽物で、前世での地球とは全く違う世界なのではないかと、心の中で思っていた。
そして、ここがダンジョンと同じならば……僕の【祝福】も効果があるのでは……?
そんな事を考えている間にも、ゴブリンキングは巨大な剣を振り上げ、シエルを斬りつけようとしていた。
間に合うか?
僕はすぐにでもゴブリンキングを攻撃出来る様に、土魔法を使い、全身を覆う鎧を作り、両手には錬金魔法で作られた玉があり、その玉を中心に水の塊を作り、圧縮していく。
あと、もう少し……
圧縮する硬さが足りないと、ゴブリンキングには無効化されてしまうから、すぐに撃ちたい気持ちを必死に抑える。
この1秒が果てし無く感じてしまう。
……きた。
よし、これだけ圧縮すればゴブリンキングへ攻撃出来るぞ!
今だ!!
「【ウォーターボール】!!」
僕はゴブリンキングに対して超圧縮した【ウォーターボール】を撃ち、ゴブリンキングを吹き飛ばす。
【ステータス】
【名前】カイン・シュバルツ
【レベル】80
【祝福】バットエンド
リタイア
タイムアップ
【技能】中級武器知識
上級魔法知識
上級薬草知識
上級錬金知識
【権能】神の眼Lv.4
“アイテム鑑定”、“モンスター鑑定”
“悪意鑑定”
レベルシステム
レベルアップ特典
成長強化プログラム《15歳まで》
【装備】魔杖 “魔力増加”“属性強化”
魔銃 “魔法強化”“速度強化”“長距離射撃”
魔剣 “攻撃力”“属性強化”
魔鎧 “回避力”“体力回復”
靴 “移動速度”“消音”
指輪 “魔法強化”“属性防御力”“器用さ”
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