第63話 ゴブリンクイーン
【シエル視点】
私は両手に聖剣を握り締め、ホテルの真上に来るのを待っていた。
ものすごい高さ、ものすごい風、足がふわふわしている怖さ……
カインは、この建物の高さは240m位で、ゴブリンのいるホテルは上が壊れていて、たぶん70m位だといっていたけど、私にはよく分からなかったけど、怖い高さだって事は痛感していた。
私は怖さのあまり身体の震えが止まらなかったけど、カインが大丈夫って言う言葉を信じれば、私は何だって出来ると思う。
上空から攻撃する時のコツは……頭を狙わずに首筋から刺して体内にあるコアを壊せればモンスターは死ぬって言っていたけど、とりあえず身体のどこかに当たれば大丈夫って言っていた。
【ギフト】を授かってから、目が良くなり、遠くのモノも見える様になったけど、ゴブリンクイーンが視界には入ったけど、まだ豆粒位の大きさなんだけど、しっかりと当てられるのかな……。
「シエル!! ホテルの真上に付いたから、パラシュートを壊すよ!!」
あ、カインの声が聞こえた。
ついに落下する時が来たのね……。
「分かったわ!!」
私は震えた身体で、精一杯返事をすると、パラシュートは幻だったかのように消え、私は一気に落下した。
あんなに小さく見えていたゴブリンがどんどんと大きく見えてきた。
ゴブリンキングとゴブリンクイーンは、まだ私に気がついてない……あ、ゴブリンキングがこっちを見た!
そして、ゴブリンキングは手に持っていた巨大な剣を凄いスピードで落下していく私に合わせて振りかぶってきた!!
これは当るわ!
私は既にゴブリンクイーンの首筋に剣を刺すための動作に入っていて、もう体勢を変えられる状況じゃなかった……。
どうしよう。
このままだと、私がゴブリンクイーンへ到達する前に、ゴブリンキングの剣が私を薙ぎ払うわ。
……え?
私がゴブリンキングの剣に薙ぎ払われる未来しか見えないと焦っていた刹那、身体の落下スピードが信じられない加速をし、私はゴブリンキングの剣をすり抜け、あっという間にゴブリンクイーンを串刺しにしていた。
バタァーン!!
私の狙い通りに剣が刺さり、ゴブリンクイーンは仰向けに倒れた。
「私……やったの?」
倒れたゴブリンクイーンから大量の血が流れている。
これは倒せたのかな?
「グギャアアア!!!」
「え?」
バゴンッ!!
私がゴブリンクイーンに集中し過ぎた為、怒り狂ったゴブリンキングが殴りかかっているのに全く気が付かず、私の身体位の大きさの拳で横から殴られ、私は吹き飛ばされる。
「グキャ! グギャ!」
あ……
ゴブリンキングが近付いて来るのが見えてはいるけど、殴られた身体が痛みで動かない。
意識もはっきりしない。
次は巨大な剣で斬るつもりなのか、ゴブリンキングは剣を振り上げる。
あれで攻撃されたら……私はしぬ?
助けて、カイン……。
【生命の危機を感知……】
【聖剣クラウ・ソラスにより強制同化を開始……】
何か頭の中で変な声が聞こえるけど……
意識朦朧としていて、なんて言っているか良くわからい……
【強制同化によりシエル・スライダーは人族から聖人になりました……】
【意識低下を確認……】
【聖剣クラウ・ソラスがシエル・スライダーの身体を操作します】
私はもう意識を保つのが限界になり、目をつぶろうとしていると……。
ドゴーン!!
凄い音がしたので、目をあけると、視界には吹き飛ばされるゴブリンキングが見えたが……。
そこで私は意識を手放した。
【ステータス】
【名前】シエル・スライダー
【年齢】5
【種族】聖人Ⅰ
【ギフト】剣聖
光属性
全能力大幅上昇
【制約の契】聖人化
自然回復Ⅳ
聖剣・魔剣の装備不可
【装備】聖剣クラウ・ソラス Lv.1
【聖人】人族の上位種族。
寿命が人族よりも長い。
神のギフトとの親和性が高い。
徳により階位が上がる。Ⅰ〜Ⅹ
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