第14話 D級ダンジョン
『サリ……またダンジョンに強制転移されたよ。しかも今度は幼馴染二人も……』
『私も現在移動中ですが、やはり時間はかかります。しかも2人が意識ある間は私は力を一切使えません。使えても【ライトヒール】位です』
サリは人間には認識されてはいけないという制約があるから、ふたりの目がある間は力を使えない。
『そうなんだよね……やっぱり僕が魔法を使うしかないなぁ』
しかも未知のD級ダンジョンだから、武器だけで攻略出来る訳がない。
そうなると魔法を全力で使わないといけなくなるんだけど……【祝福】を授かる前なのに魔法が使えたりする説明が出来ないんだよな……本当にどうしよう?
『2人が怪我をして、ずっと後悔するよりは全力を出した方が良いと思います』
『だよね……』
『あと錬金魔法には幻覚ポーションがあった筈ですが……?』
『いや、後遺症は無いらしいけど、何となく使いにくいんだよね……しかも、中級だと耐性次第らしいから、下手したら全く効かないらしいし』
『その場合は諦めるしかありませんね……』
幻覚ポーションって名前があれだけど、効果としては夢を見ている感覚になるもので、ハイになったりはしない安全なものらしいが、幼馴染の女の子に使うには激しく抵抗があった。
「カインくん、ここはどこだろう……?」
ソフィアが心配そうな表情で僕の服を掴んでくる。
シエルもいつもとは違い、怖がっている……中身が大人の僕が保身ばかり考えている場合ではないなと思い入れ直す。
「ソフィア、シエル。ここは大人達が最近騒いているダンジョンの中だと思う」
「ダンジョン……?」
「カイン、ダンジョンって何よ!」
ああ、ふたりはダンジョンを知らないのか……まあ、3歳の女の子に教える内容でもないしな。
「強いモンスターがいっぱい出てくる場合なんだ。でもふたりの事は僕が絶対に守るから安心して」
最悪の場合は、僕が死に戻りを繰り返したとしてもふたりは安全に家に帰すと覚悟を決める。
「私より弱いカインには強いモンスターと戦うなんて無理よ!」
「シエルの言うとおり……助けを待ったら?」
「助けが来るには数日かかるし、ふたりには黙っていたけど、僕には魔法が使えるんだよ」
「「魔法?」」
ふたりは【祝福】すら知らないだろうから、魔法も知らないか。
僕はポケットから、先程錬金魔法により精製した粉末が入った瓶を取り出し、魔力を込める。
パアアア……
「瓶が光った!」
「綺麗……」
「これが錬金魔法。これで中級回復ポーションが完成」
ポーションの作り方は単純で、薬草を精製したあとは魔力を込めながら錬成するだけで、粉末は液体に早変わりするのだ。
どうせだから、ポケットにある瓶も纏めて錬成してしまう。
「それでもモンスターには勝てないんじゃないの?」
「僕もここにどんなモンスターが出るかは知らないけど、何とかするよ」
そう言い、指輪化されていた魔力増加の杖を左手に、攻撃力増加の剣を右手に装備した。
【ステータス】
【名前】カイン・シュバルツ
【レベル】35
【祝福】バットエンド
リタイア
タイムアップ
【技能】中級武器知識
中級魔法知識
中級薬草知識
中級錬金知識
【権能】神の眼
レベルシステム
レベルアップ特典
成長強化プログラム《15歳まで》
【装備】魔力増加の杖
攻撃力増加の剣
移動速度上昇の靴
魔法強化の指輪
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