第13話 幼馴染ソフィア

「カインくん、遊びに行こ……」


「あ、ソフィアか。ちょうど暇だから良いよ。えっと、いつもの空き地だよね」


「うん。薬草とり」


薬草大全・ステイン王国版という大きな本を大事そうにかかえているので、やりたい事は分っている。


ソフィアはあの剣士好きなシエルと双子なので、顔は似ているが髪色はシエルとは違い鮮やかな青色で、性格は大人しめで、趣味は薬草採取だったりする。


僕のお母さんとはとても気が合うのか、よく母のお手伝いをしている。


今日も趣味の薬草採取を一緒にやろうという、お誘いだ。


そして裏の空き地とは、広大な広さのある手入れされていない土地が町の中に忽然とあり、謎だが薬草がよく取れるし、町中なのでモンスターもいないので安全という、ソフィアからしたら最高の環境なのだ。




「なんでシエルまで来てるの?」


僕はシエルと一緒に裏の空き地へ向かったら、そこには何故か午前中に会ったばかりの木の剣を持ったシエルが立っていた。


シエルは薬草みたいな事には興味がなく、身体を動かす事だけが好きだった筈なのに、何でこにいるんだ?


「良いじゃない! も、モンスターが出るかもしれないじゃない。私が助けてあげるわ!」


「いや、こんな町中にモンスターなんか出ないよ……」


まあ、町の外にはまた新しいダンジョンが出現し、町では大騒ぎになっているが、ここまではモンスターが来る事は無いだろう。


何でもダンジョンはD級ダンジョンらしいが、詳しくは全く分からない。


そろそろE級ダンジョンには初めてチャレンジしてみようかなと考えているが、2階級上のD級がどれ位のヤバイのかは想像すら出来ない。


サリですらD級は条件や環境によってはギリギリとか言っていたし、まだ関わらない方が良いだろう。


両親の話を盗み聞きした感じだと近々、ステイン王国騎士団が討伐作戦に来てくれるらしいから安心だと言っていた。


「カインくん……シエルがああなったら放っとくのが良いから、薬草取りしよ……」


「分かったよ。今日はあっちの方に行ってみようか」


僕は小さな池のある場所を示す。


水回りにある薬草には、低級回復ポーションの材料があったり、低級解毒ポーションの材料もあるから、僕も欲しいなと思っていた。


サリは傷の回復は出来るけど、解毒とかの状態異常系の回復は出来ないので、ダンジョンを回るなら各種の回復ポーションを用意していたい。


「分かった……」


「シエルは騒いて池に落ちるなよ」


「私はそんな事はしないわよ!」


いやいや、ちょっと前にも町の川に落ちて怒られたばかりだろ?


しかも、怒られたのは一緒にいた川に落ちてない僕もなのだ……完全な巻き添えで。


まあ、子供だから、やるなと言っても無理だろうし、僕が注意するしかない。


サリが回復出来るのは僕だけで、2人が仮に怪我をしても女神様の制約によりサリには僕以外の人間には関与出来ない。




「池は思ったより浅いわね……」


「シエル、危ないから池には近づかないで」


シエルは案の定、池を覗き込むようにしていた。


「分ってるわよ」


僕はすぐに助けられる様、シエルの行動に注意しながらも素早く欲しい薬草を採取していき、コッソリとその場で錬金魔法を使い、薬草を粉末状に加工して、事前に錬金魔法で作っていた瓶に詰めていき、ポケットにしまう。


ソフィアを見ると、薬草と本に書いてある絵とをジックリと見比べていた。


ソフィアはまだ文字が読めないので、薬草大全に描いてある絵と同じ薬草を採取し、帰ってから親に読んでもらうという事をしていたので、二人とも僕の錬金魔法には気が付いていない。


「よし、欲しい量は……」


僕は身に覚えがある嫌な感覚にとらわれたと思ったら、視界が暗転して石造りの薄暗い通路に強制転移させられていた……またかよ。


「か、カイン! ここって何処なのよ!?」

「カインくん……」


「えっ、マジで?」


例のD級ダンジョンに強制転移させられたのは分かるが……まさか、幼馴染の二人も一緒に強制転移されてしまう、という最悪の展開だった。




【ステータス】

【名前】カイン・シュバルツ

【レベル】35

【祝福】バットエンド

    リタイア

    タイムアップ

【技能】中級武器知識

    中級魔法知識

    中級薬草知識

    中級錬金知識

【権能】神の眼

    レベルシステム

    レベルアップ特典

    成長強化プログラム《15歳まで》

【装備】魔力増加の杖

    攻撃力増加の剣

    移動速度上昇の靴

    魔法強化の指輪

    

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