第12話 幼馴染シエル

カツン!

カツン!

カツン!


僕は近くに住む同じ年の女の子と木の剣で毎日の様に打ち合っていた。


「やっぱりカインは強いね! もっと強く行くよ!」


ガキンッ!


「ッツ!!」


さっきの剣撃でも、3歳の女の子とは思えない程に速くて力強かったのに……更に上がるのかよ。


ガキンッ!


くっ、相変わらずこの幼馴染はメチャクチャだな!


今の僕はレベル35になっていて、身体能力はかなり高いものだと自惚れていたけど、攻撃を防ぐだけで限界だった。


ミシッ……


!?


「ちょ、ちょっと待った!」


「なによ? もう終わりなの? もっと楽しめるかと思ったのに……」


っ痛い!?


木の剣を持つ手首から嫌な音が聞こえてきたぞ……。


『カイン様、回復します【ライトヒール】』


『ありがとう』


『木の剣越しにカイン様の腕を折るとは……やりますね、シエル』


『え、あれ折れてたの!?』


通りで痛いわけだよ!


『正確には手首にヒビが入りましたね』


『マジかよ……』


コレって直撃したら……死?


ゾクッ……


「シ、シエル……もう打ち合いは今後止めよう。僕にはシエルの相手は厳しいよ」


「えっ〜!? 嫌よ! 最近、お父さんも忙しいみたいだし、カイン位しか私の相手はしてくれないんだから!」


「いや、普通の子供なら既に大怪我だよ……」


「怪我くらいは剣士にはつきものだってお父さんが言ってたわよ」


僕の場合はサリが回復してくれるから、見た目では無傷だけど、回復が無ければ身体がボロボロになっていてもおかしくないと思う。


この目の前にいる少女は、赤い髪を短く切っていてボーイッシュな感じでいるが顔立ちは整っていて、将来は美人になりそうな雰囲気の美少女であるシエルだ。


シエルは、僕の住んでいる家の近くに住んでいる同じ歳の幼馴染で、シエルの隣にいるおじさんが町1番の剣士という事もあり、シエルはおじさんに憧れて、小さいうちから子供用の剣を握って振り回していた。


そして、僕が2歳位からの一番の被害者でもある。


毎日の様にシエルの相手をしていたので、ダンジョン攻略も最近は最低限の月1回になっていた。


何故かシエルは僕が剣士になりたいと勘違いしているが、ここはハッキリ言っておこう。


「僕は剣士にはなりたくないんだよ」


「私はカインと一緒に剣士になりたい!」


シエルは今にも泣きそうな顔で叫ぶ。


……初のダンジョン攻略後、しばらくの間は両親が毎晩泣いていたのを見てからというもの、何故か涙に弱いんだよな。


誰かを泣かせてしまう事に凄い罪悪感を感じてしまうのだ。


「いや、僕は……」


しかし、シエルの涙は子供がゆえに……


「私はカインと一緒に剣士になりたいの! うわああん!!」


「……」


遂には泣きだしてしまった。


やはり誰かを泣かしてしまうのはグサリとくるな……。


「はぁ……約束は出来ないけど、一緒に剣士になれたら良いな」


「え、うん!!」


シエルは凄く可愛い笑顔でウンウンと頷く。


この返事がシエルにとっては凄く重要な生きる方向性を決める要素になってしまう事に、この時の僕は全く知らなかった。




【ステータス】

【名前】カイン・シュバルツ

【レベル】35

【祝福】バットエンド

    リタイア

    タイムアップ

【技能】中級武器知識

    中級魔法知識

    中級薬草知識

    中級錬金知識

【権能】神の眼

    レベルシステム

    レベルアップ特典

    成長強化プログラム《15歳まで》

【装備】魔力増加の杖

    攻撃力増加の剣

    移動速度上昇の靴

    魔法強化の指輪

    

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