第11話 2歳
『ふぅ……今回も簡単に攻略出来たね』
僕はF級ダンジョンのボス、巨大ウサギを倒して部屋に転移してきた。
『お疲れ様です。既にカイン様の実力ならばE級にも挑戦出来そうですね』
初めてのダンジョン攻略から2年が経過し、レベルも30にはなったが、最近では全くレベルが上がらなくなった。
もしかしたらモンスターが雑魚すぎて上がらなくなっているのかもしれない。
『魔法も中級になって、攻撃魔法も覚えたからF級なら余裕だけど、未だに歩くのは無理だから、あと1年はF級かな』
家の中ならばもう自由に走り回れる程に鍛えられたのだが、ダンジョン内になると話は変わってくる。
F級ダンジョンはほとんどが洞窟タイプか草原タイプで、洞窟タイプは足場が悪く、草原タイプは歩く距離が長過ぎる問題があるのだ。
『その方が無難でしょうね。低級ホムンクルスは【アイテムボックス】にしまいますね』
『うん、よろしくね』
サリはいつもの様に僕ソックリな低級ホムンクルスを【アイテムボックス】へとしまった。
この低級ホムンクルスは、見た目は僕ソックリだが、思考能力が無いので常に眠っているのだけど、僕がダンジョン攻略している1時間位の間、両親を誤魔化すには充分な性能を持っていた。
このホムンクルス、F級ダンジョンへの強制転移後、すぐに発生した成長強化プログラムのミッションで低級錬金知識を覚えられ、ダンジョンの宝箱から出てきた魔石を元に僕が作った擬似生命体だ。
本来、生命体は【アイテムボックス】には入らないらしいが、この低級ホムンクルスは失敗作のため、生命体とは認識されないらしく、【アイテムボックス】へ入れる事が出来た。
ちなみに僕が転生した場所は、【インタセクト】という異世界のステイン王国で、その辺境にあるガガリという小さな町に住んでいた。
ガガリは基本的には自給自足で生活するような貧乏な町で、父は狩人として近くの山で動物を狩ってきては母がその動物を捌いて肉や皮にする作業をして、たまに来る行商人と物々交換をして生活していた。
元日本育ちのニートには、これだけでもかなり最悪な環境で、ご飯は薄味な上に肉や野菜は嫌な臭みがあり、苦味も凄くあったりしてとてつもなく不味く、そこら辺が虫だらけの家に住み、娯楽は皆無で、最近の楽しみはダンジョン周回になっているので、本来ならば月に1回行けば良いダンジョンだけど、毎週通う様になっていた。
あと、この異世界は1年間が365日で、1週間も7日、1日24時間という地球と全く同じ環境だった。
サリの話では【インタセクト】自体が地球のあった銀河系のコピーみたいなもので、神々が魔力やダンジョン、【祝福】などを追加した事でこの様な世界になったらしい。
だから、太陽はあるし、月やその他の星すらあり、神々が何故【インタセクト】を作ったのかは知らないと言っていたが、人智を超えた力を使っているのだけは分った。
あと、【インタセクト】の世界において【祝福】はかなり重要な要素になり、【祝福】は神々が子供に与えてくれる奇跡と言われていて、例えば僕の父ならば、筋力上昇と視力上昇の2つの【祝福】を持っている事で、モンスターを弓で簡単に殺したり出来るし、母は器用さ上昇と治癒魔術の2つを持っていて、簡単な怪我なら治癒魔術により治せたりも出来るらしい。
そして、【祝福】は人により授かる数が1個から3個とバラバラで、普通は1個、2個でラッキー、3個は激レアな感じらしく、その中でも母の様に魔術が使える人は非常に珍しく、こんなガガリで生活していなければそこそこ良い暮らしが出来ていたかもしれないらしい。
まあ、何故かお父さんと結婚して、ガガリに住んでいるのかは謎である。
そんな感じで【祝福】はとても重要で、技術職につきたいなら器用さ上昇や筋力上昇は欲しいし、専門的な職種ならば専門の【祝福】持ちが圧倒的に有利だったり、ほとんどの人は【祝福】により将来何をするかを考える位だと言っていた。
……しかし、そう考えると僕のステータスが異常なのが分かる。
回復魔法や光、闇魔法はまだ使えないが、それ以外の魔法なら使えるし、武器の初級知識もあるので鍛えればそこそこ使えるのではないだろうかと思う……これは実力を隠した方が良くないか?
【ステータス】
【名前】カイン・シュバルツ
【レベル】30
【祝福】バットエンド
リタイア
タイムアップ
【技能】初級武器知識
中級魔法知識
初級薬草知識
初級錬金知識
【権能】神の眼
レベルシステム
レベルアップ特典
成長強化プログラム《15歳まで》
【装備】魔力増加の杖
魔法強化の指輪
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