第6話 コウモリを討伐せよ
僕は3匹いるコウモリの動きをジックリと観察しながら、目の前にある火の玉をコウモリに向けて放てないかと考えていた。
火の玉を出す事自体は、初級魔法知識があるだけで自然とやり方が解り、簡単に出す事が出来たけど、火の玉を撃ちだす方法は全く分からないところを考えると、初級魔法知識にはファンタジーの定番であるファイアボールの様な使い方は、まだミッションに無い中級魔法知識辺りになるのかもしれない。
ってか、さっきからコウモリはこちらに来ようとはするが、すぐに離れて、また近づく行動を繰り返していた。
まるで火の玉を恐れているみたいに……。
あれ?
コレってこのまま火の玉を出していれば、サリが来るまで時間稼ぎが……あ、ダメだ。
火の玉を作り出す元となる、身体の中にある魔力が足りなくなって来ているのが、本能的に解った。
そして、その10秒後には魔力が尽き、火の玉も同時に消えてしまった……。
キキキ……!
「あうあ!?」
火の玉が消えた瞬間、コウモリ達は待ってましたと言わんばかりの感じで3匹共に一斉に襲い掛かってきた。
キキキ!
キキキ!
ガブッ!ガブッ!ガブッ!
い、痛ったあ!!!
コウモリは僕の首と両腕に噛みつき、バクバクと食べ始めた。
うおっ、マジかよ、死ぬって食べられながら死ぬのかよ……。
こ、これなら一撃で殺して欲しかった……。
僕は死ぬまでの2分間位、コウモリ達に食われる激痛に絶望していた。
【ダンジョン内で死亡したのでバットエンドが発動……スタート地点に戻ります】
はっ!?
あれ、ここは……?
僕は数秒後、コウモリ達に食われて死亡したことを思い出すと絶望で吐き気がした。
おえっ……
あんな激痛は何回も耐えられないぞ……。
あ、そうだ。
『さ、サリ!』
僕はすぐにサリへ念話を飛ばす。
サリには1秒でも早く助けに来てもらわないと……
『カイン様!? 今、どちらにいますか? 突然、姿が消えてから、先程まで連絡出来ませんでしたが、カイン様からの連絡頂いたら、返事出来る様になりました』
『町の近くにあるF級ダンジョンに強制転移させられたみたいなんだ。すぐに来て欲しい!』
『分かりました。私はすぐそちらに向かいますが、合流まで2時間以上はかかると思います』
『うん! 出来るだけ早くお願い!』
あとは15分後に現れるコウモリをどうやって倒すかだな。
魔力切れになるから、ずっとは火の玉を出してはいられないし……まてよ?
あの方法ならコウモリに魔法が当たるかもしれない。
それには魔法の練習が必要だな。
僕は15分後に現れるだろうコウモリ達を倒す為、魔力切れにならない程度に魔法の練習をした。
★
キキキ……
モンスターは本当に同じ行動をしているんだな。
コウモリ3匹は、前回同様に約15分後に洞窟の奥から現れた。
そして、今回も様子を伺うそぶりを見せながら、少し離れた場所で徘徊していると思ったら、前回とは違いコウモリ達は真っ直ぐ僕に向かって飛んできた。
やはり、コウモリは火の玉を警戒していたんだな。
火の玉を出していない今回はすぐに突進してきた。
キキキ……!
キキキ……!
コウモリ達の噛みつきが僕に届きそうになる瞬間、僕は先程から手のひらにスタンバイさせていた電気の魔法をコウモリに向かって発動させる!
バチバチバチッ!!!
キキキ!?
キキキ!?
キキキ!?
コウモリ達は電気の魔法を直接に与えられたので、ボトボトと音を立てながら地面に落ちていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます