第5話 ダンジョン強制転移

【ダンジョンの強制転移が開始されます】


“えっ?”


僕は一瞬、視界が暗転した後に見た光景は、薄暗い洞窟の様なダンジョンの中だった。


『サリはいる?』


『カイン様!? 今、どちらにいますか? 突然、姿が消えてから、先程まで連絡出来ませんでしたが、カイン様からの連絡頂いたら、返事出来る様になりました』


『多分だけど、例のF級ダンジョンに強制転移させられたみたいなんだよね……見た感じは薄暗い洞窟かな』


『なるほど……洞窟タイプならば全てのモンスターを倒すか、ボスモンスターを倒せばクリア出来る可能性が高いですが……問題はカイン様に攻撃手段が無い事ですね』


『そうなんだよね。せめて攻撃魔法とか赤ん坊以外の肉体があれば……』


生後1週間の赤ん坊には出来る事など何も無かった。


『最悪、ダンジョン内だから死なないだろうから、【タイムアップ】可能時間まで生き残るしかないな』


死んだら強制的に【バットエンド】による死に戻りだろうから、作戦的には死なない様に【タイムアップ】待ちだな。


『私はすぐそちらに向かいますが、合流まで2時間以上はかかると思います』


『分かった。それまで何とか頑張るよ』




僕は【浮遊移動】のおかげで湿っぽい地面に寝る事はなく、ふよふよと浮かびながら待機していた。


ダンジョンに強制転移させられてから、約15分か……。


キキキ……


入口付近で岩陰に隠れるように身を潜めていたけど、やはりモンスターに見つかってしまった。


あれはコウモリ型のモンスターなのかな?


飛んできたのは3匹だけで、普通の大人ならば倒せそうな雰囲気はあるが、赤ん坊には無理だろう……。


2時間は耐えなくてはいけないのに、たった15分でモンスターが来てしまうって、かなり無理があるのではないだろうか?


しかし、全く抵抗せずに死ぬわけにはいかない。


だっていくら死に戻り出来たとしても、きっと同じ状況になってしまうだろうから、下手したら無限に殺される地獄が完成してしまうかもしれないのだ。


せっかく異世界転生したのに、それは絶対に嫌だ。


だから、最後の最後まで足掻いてやる!



……それにしても、コウモリってあんなにゆっくり飛ぶものなのか?


地球のコウモリは素早くてあっという間に移動してしまう印象だったが……まあ、ここは異世界でモンスターのコウモリになると遅くなるのかもしれない。


コウモリの弱点ってなんだ?


確か何かのニオイだった気がするんだけど……思い出せないし、そんなものは無いからな。


低級魔法で効果がありそうなのは……火とかか?


獣系だろうし、火で逃げてくれたり?


僕は目の前に、自分の頭位のサイズはある火の玉を2つ作り出す。


……あれ?


目の前に火の玉を作ったのは良いけど、どうやってコウモリに撃ち出せば良いんだ?


知識の中には火の玉を撃ちだす方法なんか無かった気がする……もしかして、低級魔法が生活魔法って言われる理由は……攻撃に向かないからなのか?






【ステータス】

【名前】カイン・シュバルツ

【レベル】1

【祝福】バットエンド

    リタイア

    タイムアップ

【権能】神の眼

    レベルシステム

    レベルアップ特典

    成長強化プログラム《15歳まで》

    浮遊移動3歳まで

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る