第7話殺意の達人③証拠

「黒井川さん、これは事故じゃないんですか?」

と、川崎が尋ねる。

「きっと爆弾だよ。車内から箱の蓋らしきモノが見付かったろ?あれはあやしいね」

「遠隔操作でしょうか?」

「さあね。あと、調べてきてくれた?坂上達人の経歴を」

「はい、帝都理科大学中退後、四万十川調理専門学校卒業後、単身フランス料理店で働いていたそうです」

「やはり、理科大学通っていたか。爆弾はつくれるね。今から、坂上達人の店行くぞ。昼には東京で『かまどの達人』の収録だから」

2人は坂上達人に、一通りの職務質問して、昼間、村上の店にいたことを話した。


そして、黒井川と川崎は村上の店舗を訪れた。妻だと言う女性に高級外車の駐車スペースに案内してもらった。

コンクリート作りの駐車場には爆発した高級外車と、隣にはワゴン車が停めてあった。

仕入れ用の車らしい。

「川崎くん、このコンクリートの黒い後はなんだろうね?」

「タイヤ痕では?」

「なんか、引き摺ったような?」

「私は何も不審に思いませんが」


「ちょっとさ、実験するからよく視ててよ」

黒井川は仰向けでコンクリートの上に横になり、ワゴン車の車体の下に潜り込んだ。

色々動き周り、出てきた。

「どうだった?」

「黒井川さんの、革靴のかかとの跡が残りました」

「じゃ、この外車付近の跡もかかと跡だね。決まり。証拠見付けた。鑑識に連絡してよ。僕は東京に行く。坂上達人の試合見てくる」


黒井川は捜査の一環として、テレビスタジオに現れた。坂上達人は、観覧席に黒井川を見付け厭な予感が

挑戦者が、気になるがおばさん挑戦者と聞いた。勝てる。三連敗はない。ホッとした。


挑戦者が現れた。

「本日の挑戦者は、家庭料理研究家小林ヤス代」

「さて、小林さん、誰と戦う?」

「坂上達人お願いします」


「本日の材料のテーマは、『じゃがいも』」

坂上は勝ったと安心した。相手は、料理人ではない。おばさん素人料理人だ。

黒井川は、じっとスタジオを見つめていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る