第6話殺意の達人②疑惑

内海大橋は車の爆発事故で通行止めになった。

村上の高級外車は、ごうごうと炎を上げ、消防車が到着して、消火活動をしている。

火は30分後に消し止められた。消火が早かったため、村上は身体の一部分だけが焦げて、死体も車内も燃えずに済んだ所があった。

現場検証を行う、警察官と消防士。

消防士が遺体の尻ポケットから財布を見つけ、刑事に渡した。

黒井川警部は、パトカーの中でアメリカンドッグを食べていた。


「黒井川さん!財布が発見されました。あっ、アメリカンドッグですか?」

「晩飯、この事故で食い損ねたから」

「私もです。黒井川さん、一口下さい」

「これ、残り全部いいよ」

「あ、ありがとうございます。いただきます。……衣だけじゃないですかっ!」

「財布燃えなくてよかったね。……川崎君、この人愛知県の人だ」

黒井川はコーヒーをグビリと飲むと、村上武史と免許証に書いてあった。

名刺入れも、一緒にもらった中身は、ラ・ジャンヌオーナーシェフ・村上武史と印字されていた。

一人の警官がやってきた。

「免許証見せてもらっていいですか?車内から洋包丁が数本出てきたので」

「いいよ」

黒井川は警察官に免許証と名刺を見ると、

「黒井川警部、この人あれですよ!」

「君の知り合い?」

「あの、『かまどの達人』の次回挑戦者ですよ!」

「川崎君、知ってる?」

「私は余り、料理番組は……」

「君、名前なんだっけ?」

「井手です」

「井手君、この村上さんが挑戦者する達人は、誰?」

「最強達人、坂上剛シェフです。連絡取れる?」

「はい。店にかけてみます」


川崎が現場の他の刑事に、後を頼んでパトカー内に座る、黒井川に

「実は、テレビガイドにこのような事が書いてありました」

「どれどれ」

黒井川はその記事を読んだ。


2連杯中の坂上達人。次回の戦いに敗れると、達人引退。


黒井川は、川崎にテレビガイドを返し、

「井手です。坂上達人と連絡が取れました。今、名古屋市内の自分のレストランで事務処理しているみたいです」

「ありがとう。井手君」

「どうするんですか?」

「会いに行くよ!」

2人はパトカーを降り、普通自動車の車両に乗り換え、回転灯とサイレンを鳴らし、川崎の運転で坂上達人の店に向かった。


「あの~、夜分遅くすいません。愛知県警の黒井川と申します」

「私は、川崎と申します」

2人は警察バッチを見せた。

坂上は警察がここにたどり着くのが早すぎると思った。

これは、決戦だ。

達人VS警察の

「あのう、警察の方は認識しましたが、私に何の用事で?」

「じつは爆発が起きて今週の『かまどの達人』のあなたへの挑戦者村上武史さんがお亡くなりになりました」

「信じられない。いつですか?」

「今夜の7時過ぎです」

「驚きだけで、言葉もありません」

「そうでしょう。明日もここに?」

「はい、仕込みがありますから」

「では、我々は明日またお伺い致します」

「詳しい話しはまた、明日で。お休みなさい」

「お休みなさい」


「ねえ、川崎君。今日の昼から夕方まで坂上達人がどこにいたか、調べていてよ。あと、亡くなった村上シェフとの関係もあらってみてよ!」

「また、どうして?」

「さっき、僕が爆発の話ししたろ?いつ、どこの大爆発で、建物が倒壊したかもしれないじゃん。爆発だよ!どうして、坂上達人は村上シェフだけ死んだって、わかったの?」

「そ、それじゃ」

「知ってたんだよ。爆発の規模を」

「って、事は?」

「坂上達人が怪しいねぇ」

黒井川はタバコに火をつけた。

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