第16話 最後の観覧
由梨花が目覚め昼食をとってからはものすごく静かなデートが始まった。由梨花は今までの自分の行動が悪い自覚を持ったのか静かにただ要の横を歩くようになった。
ここからはしっかりと由梨花の苦手な絶叫系や自分で動かす系をうまく避けて乗り物を選んでいた。要も相当なっていたことがわかる。一回コーヒーカップに乗った時は焦った。由梨花の苦手なものの一つであったから。しかし、そんな心配もなく回すやつを由梨花に委ねたことで今まで一番ゆったりと回転しているコーヒーカップになっていた。
由梨花のいつものような元気さはなく、とはいえ疲れてる感じもしない。飽きてるってきもしないし俺にはわからない状態でいるのが少し問題だ。要に様子を伺ってみるが気を遣っている感じがするようだ。由梨花のほうは絶賛既読無視というやつをされているためこちらから手を差し伸べることができないでいる。
「もう時間ないけどこのままでいいのかな?」
「1回目だししょうがないだろ」
本当なら最後くらいは自然で終わらせてやりたい。だが、ほぼ詰んでる状態。俺が何かをしたところで簡単に変わるようなもんでない。
「もうとつろうかな」
「やめておけ。さらにおかしくなる」
うまく理由をつければそれもあり。ここにはそれほどの条件が揃っている。だがそうするってことは俺らが失敗と二人に伝えているようなもの。そう簡単にやるわけにはいかない。
「まだ、カードはある。最後の望みにかけるしかない」
「観覧車で何かなるの?」
「休めるし座れるし二人きりでやっくりできる」
「それでなんとかなるならとっくにできてるって」
新庄のいうとおりだ。観覧車一つで解決できる簡単なことではない。
「まー見てろって」
そして観覧車近くについた。
「ねぇ抵抗してるよ」
由梨花がどこか観覧車に乗るのを嫌がり始めた。初めてみる光景だ。ジェットコースターの時よりも嫌がっている。
「かえっぞ」
「え、っちょ」
あとは要に任せるしかない。というよりこの場に俺がいる方がまずい気がしてきた。
俺と新庄はそのまま園の外にいった。
「なんででたの?あの状況でほっておいてほんとにいいの?」
「由梨花自信が今回のことを壊しにきそうだからそれの回避だ」
「どういうこと?」
「俺のことを呼んだらどうする?」
理由はわからないがあいつは今日のどんな状況よりも観覧車を拒んでいる。ジェットコースターに無理やり乗せた要なら観覧車に乗るは確実だろう。俺らはただその邪魔をしないだけ。感ではあるが俺らがいることが失敗に繋がる気がしたんだ。
「つまり、私たちに気づいたら今回のことを全部ダメになったとしても私たちを頼ると?」
「どういうわけで乗りたくないかはわからないが午後からのあいつはどこかおかしい。そして、どうしようもなくなった時俺を見れば俺を呼ぶだろう」
考え難いが由梨花に踊らさせていたのかも知れない。俺らにサポートを頼んだのは成功よりも失敗を考えてのことだったのかも知れない。俺らを利用することで中身は失敗しても終わりが良くなれば良い。そこまで考えるようなやつでないのは知っているが今日のあの光景を見ると俺の知らない一面は結構あるようだし。
「でも」
「安心しろ出口はここだけ逃げ出したんなら捕まればいい」
「成功するかな?」
「乗れば成功」
なんせ遊園地で一番好きな場所なんだから。
次回初デート終幕
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます