第13話 強い責任感
最悪。りょうちゃんが余計なこと言うから
このチャットを最後に由梨花は寝てしまった。
あれから俺たちはジェットコースターのある場所に向かった。その時にはもう要たちは中の方に入っていた。どこかで抜けると思ったがしっかりとのるところはさすがだ。
そして本番の時。よーく見ると一番前でものすごく震えている人が見えた。それが由梨花。安全バーからは絶対離さないと言う鉄の意志を感じ取れる。こうなってしまったのももとより俺が余計なことを言ったからである。
「ほんとに大丈夫かな?このあと」
「アウトだろうな」
とはいえ、俺では見れない由梨花の一面が見れるかもしれないと言う期待もあった。
そしてついに動く時が来た。
「おーはじまる」
新庄もなぜか楽しそうだ。
動き出した。最初の絶叫は高いところから下のいくやつ。しかも一番上で一回止まる。
由梨花は目を瞑り下を見ている。要は正面で無表情。
「すごい差だね。ちなみに由梨花の絶叫エピソードある?」
「無理矢理あれ乗せたら終わった瞬間にトイレに連れて行った。トイレまではなんとか耐えてくれたからあの時はよかった」
過去に俺は由梨花とのったことがある。しかも由梨花に引っ張られて。小学生だったこともあり俺は少し抵抗があった。終わった後は真反対。俺はめちゃくちゃ楽しくて絶叫の快感をしった。しかし由梨花は表情が崩れて今にも吐きそうって顔をしていた。幸いトイレが近くにありなんとかトイレに行った後だったがあの日以来似たようなものを出くわすと何があっても乗らない。俺の時は駄々こねたりしてるが流石に俺以外の人はそんなことしないで大人しくなる。
「え、まずくない?ちなみにそれは要さんには?」
なぜさんずけだ。
「要には言ってない」
「まずいとかのレベルでないのでは?」
「まさかこんな大胆な行動するとは思ってなかった」
そして頂点に行き止まった。
「もうバレるとかむしって構えておくか」
バレたとしても電話から行動したことで誤魔化すことができる。最悪の事態が起こる前に準備をしておく方が良いと思った。
ついに落下の時。ものすごい勢いで下の方に落ちていく。
すると下を向いてた由梨花の顔が上がり目も開いた。
「お、勇気あるじゃん」
そこからは横向きになったら一回転などあらゆる動きがありあっという間に終わっていた。
由梨花生きてるか?
最悪。りょうちゃんが余計なこと言うから
「あ、かえってきた」
由梨花がおちた。
それに続いて要からもメッセージが飛んできた。俺への遺言を最後に意識がとんだか。
とりあえず休ませるとこ探すからゆっくりきてくれ
わかった
「横ならそうなとこ探すぞ」
「わかった」
由梨花が休めそうなところを探す。とりあえず日陰で寝れるようなベンチを探さないといけない。
「あんまいいとこないね」
ベンチにはもう人が座っているのが多い。ほとんどのねれるくらいの長いもので使えそうなのは直射日光を浴びるようなとこばかり。
「最悪休めればいいか」
「そうだね」
しぶしぶとりあえずベンチを確保をして二人を待つことにする。見つからない槍はまだマシだし。
メッセを送り少し経つと二人が合流した。由梨花は完全に眠った状態になっている。
「とりあえずそこ寝かせてくれ。後は起きたら体調の確認と水分の補給をしてくれ」
「わかった」
由梨花を横にさせたのを確認俺たちはまた近場で見守る。
「あそこまでとは」
「…」
「なんで表情してんの。大丈夫でしょ」
「だよな」
やはり責任を感じてしまう。由梨花は俺以外の人にあまり拒否をしない。だから要から絶叫の話をされたら多分断らずに乗る。あいつの一面。そんな安易なことを思って言わなければのっていなかっただろう。
そして周りが昼食をとり始めた。大体1時間由梨花は全く起きる気配がない。
「飯買いに行ってくる。何食べる?」
「フランクと焼きおにぎり」
昼食をいい理由にこの場から離れることにした。正直これ以上見守るだけなのは正直耐えれない。
「わかった」
「あ、あとポテトもお願い」
「おう」
昼食のうってるところは少し離れにある。そのため心を落ち着かせるのにちょうどいい。
今回の失態は二人の距離を縮めたり俺とは違う由梨花を知ってもらおうとして由梨花のことを全く考えなかったことだ。あいつの言う通り俺は最悪だ。一番理解してるからっていってもあいつの気持ちを全然わからない。
恨まれてるだろうな。帰ってきたらちゃんと謝るか。
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