第4話 物語の第1話

ガンっ!


「あ〜、やっぱり閉まってるか…」


現在地はコの字型の学校の、ちょうど曲がる部分の上部だ。毎回説明がめんどくさいので、とりあえず角部屋に家庭科室があると言えばわかるだろう。


俺たちの教室側は袋小路で実質詰みポジなようだが、なんと旧校舎への通路があったりする。


アニメではベランダから旧校舎に避難し、そこで生存している1年から三年生が合流し拠点をつくることになっていた。


武器を探しに家庭科室まで来たものの、鍵は1階の職員室にある。

取りに行くリスクの方が高いまであるので、しょうがなくドアを蹴破った。


「1度やってみたかったんだよね、ドア蹴破るやつ」


個人的にやりたいことリストを達成でき、内心嬉しい。


「さて、包丁はどこだー?」


発言が狂気じみていると自覚しつつ、棚などを物色し、使えそうな物を手に取っていく。


「お、包丁発見」


とりあえず予備のために2本持ち、ついでに冷蔵庫の中を確認。


冷蔵庫は調理部が溜め込んでいた水やゼリー飲料、お菓子やパンを見つけることができた。そこまで多くは無いが、ないよりはマシだろう。


入れる袋がないので学ランで代用する。

こぼれ落ちそうで不安だ。


「さて、俺もさっさと旧校舎に向かおう」


食料が不安だが、備蓄倉庫は1階の食堂か、3階の階段裏にあったはずだ。さすがにそこまで一人で行くのも無理だし、カバンがない。


辺りにうろつくゾンビを走りながら素通りする。


もちろん襲いかかって来るが、俺の位置を正確に捉えられていないゾンビの攻撃は、冷静に対処すれば怖くない。


「にしても数が多いな…」


教室の窓から手を突き出し襲いかかって来ようとしているゾンビたちを横目に、俺は走る。教室まであと少し…














〜原作主人公サイド 三人称視点〜


教室にいきなり放送が流れた。

校守さんあての荷物のお届け物の放送だ。


この放送は単に荷物が届いたと言う放送ではない、校門から不審者が来たと言うメッセージだ。


毎年たまにやる訓練でそれを彼らは知っていた。数学の佐森先生は素早い指示が飛ばし、それを聞いた生徒は教室にバリケードが築く、訓練通りだ。


告知無しの放送に生徒らはざわめくも、きちんと訓練通りに身を屈め、時間が経つのをじっとしながら待った。


変化はものの数分で起こった。

生徒の1人が痺れを切らして口を開きかけた瞬間である。


「きゃーーーーッあ゛ぁ゛〜〜!!?!!!??」


女生徒の甲高い声が廊下に響き渡った。その声は恐怖を孕んでおり、途中で途切れる。


さすがにそんな声を聞いた生徒は不安を示すが、先生の声がピシャリと鎮めた。


「皆さん落ち着いてください、息を潜めて静かに…ッ!?」


パリンッ!!と音を立てながら、教室の廊下側の窓が割れた。そこからは青白い手が伸びており、流血している。


どうやら先生のようだ


「佐野先生?!ど、どうされたんですか?」


初めはゆっくり近づいた佐森先生だったが、異変に気付くと足を止めた。


目の焦点が合っていないのだ。よく見れば所々怪我と言うか、噛みちぎられたかのような跡がある。


あ゛ぁ゛〜と、うなる様子はまさにゾンビのそれであった。


さらには、隣の教室からも悲鳴が響き渡る。


「皆さんベランダから旧校舎に避難を!急いで!!」


佐森先生の判断は早かった。

ほぼ直感で出された指示は、この場面において的確だった。


しかし、ゾンビのバカ力を舐めてはいけない。窓枠をねじ曲げ、教室内に侵入してきたゾンビは、そのまま身を乗り出し、体がガラスで傷つくのも厭わず襲い来る。


「……ッ!!」


佐森先生は意を決したような表情をすると、ゾンビに飛びかかる


「コイツは先生が食い止めます!早く避難を!」


生徒はベランダへ掛ける


だが、ベランダへ続く大きな窓はたった一つ、どんなに頑張っても時間がかかるのは明白だ


さらにゾンビを相手取る佐森先生は、大人とは言えゾンビと戦うことなど想定外


生徒全員を逃がすことなど出来るわけないだろう


案の定、悲劇は起こった


佐森先生のタックルで一瞬怯んだゾンビだったが、再び立ち上がると獣のように飛びかかった。


ゴロゴロと転がり、黒板の壁に2人は激突する。噛み付こうとするゾンビと、なんとかそれを防ごうとする先生。


当然力では勝つことが出来ず、腕を噛まれてしまう。


引きちぎらんばかりの力がこもった噛みつきは、先生を絶叫させるのに十分な痛みを与えた。


その光景を唖然と皆が眺める、滅多に見ることの無い血を前に、皆は足がくすんで動けない


腕を噛まれた先生はなんとか抵抗するも、そのまま首を噛みちぎられた。


そこからはもはや捕食だ


バリバリと骨が碎ける音と、噴水のように飛び散る血…


壮絶すぎて現実味がない光景は、夢を見ているようだった。


女子の誰かが吐いた

誰かが泣き崩れ、次第に恐怖は現実味を帯びてゆく


誰かが叫んだ、走り出した、一心不乱に飛び出した。


ゾンビがさまよう廊下に飛び出す少年は、パニックを起こしながわけも分からず逃げ惑う。


恐怖は人の判断能力を鈍らせる。


大きな悲鳴と共に、割れた窓ガラスは赤く彩られる。


皆の恐怖は爆発した


どけ!邪魔だ!離れろ!死ね!


罵声が飛び交い、誰もが旧校舎を目指す。


1人の少女が突き飛ばされた。

少女は床に倒れ込み、屍の前に飛び出す。


沙那さな!」


どこかの誰か主人公の悲痛な声がした。


少女は震え、恐怖する。先程見た景色がフラッシュバックし、自身に重ねた。


腰が抜けたのか、四肢を必死に動かして、少しでも離れようと足掻く。


ふと、足が動かない


少女は恐る恐る視線を向けると、目を見開いた。ゾンビだ、足をガッチリと掴んで離さない。


「や、やだ!やだやだやだやだやだやだ!!」


噛まれる

そう少女が覚悟した時だ。


「サナちゃん!伏せて!!」


気高い少女の声がした。

とっさに頭を下げる少女の真上を通過するイス。


スイングされたイスの足の部分がゾンビに直撃し、鈍い音を立てながらゾンビを吹き飛ばす。


一葉だ


「私の親友は、やらせません!」


キッとゾンビを睨むその姿は、皆に衝撃を与える。強さより可憐さが目立つその姿は、今はとてもたくましい。


1人の小さな勇気は皆に伝染し、皆を鼓舞する。

バラバラだったクラスは正常さを取り戻し、連携を始めようとしはじめた。


「誰1人、欠けることなく避難です!」


1人のアイドルは、皆を引っ張り動き出す。

その先が真っ暗な未来でも…





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どうも作者のアズリエルです。


もしもバイオハザードな世界になったら?

一度は考えたことありますよね!


厨二病拗らせまくった作者はあります

( *˙ω˙*)و グッ!


この作品は無双じゃありません、もちろんハーレムもなければ、主人公君の運が良いわけでもありません。


ただ少しゾンビに詳しいモブが、必死こいて惨めに生き残る物語です。


そういった作品が好きな方は是非フォロー&コメントよろしくお願いします。

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