第42話

「叔母さん」


見かねた有理が声をかけ、二人で中座して店外に出ていく。


「お前は行かなくていいのか」


と父に尋ねられ、英理は首を振った。


「兄貴に任せとけば大丈夫だよ」


「彼女は、英理の中学校の同級生だったな」


かたくなに目を逸らそうとする英理に、要は低くこもった声で詫びた。


「こんなことになって、すまない」


「謝るなら」


硬い唾を飲み込み、英理は軽蔑けいべつの色を浮かべて笑った。


「最初から、こんなことしないでほしかったよ」


要は応えず、哀しそうに目を伏せている。


フカヒレの姿煮込み、北京ダック、牛肉とアワビの甘辛炒め、海老焼売エビシューマイ小龍包ショウロンポウ、蟹入り五目炒飯、デザートの杏仁豆腐。


運ばれてきた料理も、ほとんど喉を通らなかった。


その後、話は決裂したまま、その日の会合は物別れになった。


会食の間中、弥生は恵美子からどんなに罵声を浴びせられても、睨みつけられても、痛烈に皮肉られても、平然と顔色一つ変えなかった。




















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