第42話
「叔母さん」
見かねた有理が声をかけ、二人で中座して店外に出ていく。
「お前は行かなくていいのか」
と父に尋ねられ、英理は首を振った。
「兄貴に任せとけば大丈夫だよ」
「彼女は、英理の中学校の同級生だったな」
「こんなことになって、すまない」
「謝るなら」
硬い唾を飲み込み、英理は
「最初から、こんなことしないでほしかったよ」
要は応えず、哀しそうに目を伏せている。
フカヒレの姿煮込み、北京ダック、牛肉とアワビの甘辛炒め、
運ばれてきた料理も、ほとんど喉を通らなかった。
その後、話は決裂したまま、その日の会合は物別れになった。
会食の間中、弥生は恵美子からどんなに罵声を浴びせられても、睨みつけられても、痛烈に皮肉られても、平然と顔色一つ変えなかった。
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