第7話
「すいません」
何だか今日は謝ってばかりの日だな。厄日か。
そんなことを考えながら相手を見ると、相手は床に尻もちをついて、辺りに点々と伝票の薄紙が散らばっていた。
「ごめん、
慌ててしゃがみ込んで拾い集めると、白い細い指が静かに動いて、そのうちの一枚を拾い上げた。
立ち上がっても、視線を合わせるには少し下を向かなければならないほど、
英理は知らず小声になって、
「本当にごめん。怪我ない?」
弥生は一度だけこくりと首を動かすと、そのまま廊下を曲がって見えなくなった。
英理が所属するのは販売部で、エレベーターホールを隔てて反対側にある経理部が彼女の配属先だった。
販売部のフロアの半分ほどしかない、机と椅子が五つほど並んだ小さな島と、灰色のスチール戸棚に囲まれた空間。
彼女はいつも小鳥のようにそこに座っていた。入ってすぐの席に。
去年の春に入社してから、一度も休んだことがなかった。
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