怪談をしろ

 基本的に自宅にいるときはなんらかの配信を流している、という男性に聞いた話。


 そのとき流していたのは「まぁそこそこ過疎ってはいない女性配信者」のゲーム配信で、ガワと声が可愛いからなんとなく流し見していたらしい。

 

 チャットの盛り上げに一役買ってみるかという仏心(=無意識)で、

「カレシいる? ていうかLINEやってる?」という決まり文句を送ろうとキーボードに触れた瞬間、


『ガチで彼氏いらない派なんだよねー、楽しいことも面白いこともやりたいことも多すぎてさ、邪魔になる』


 彼女はそう言って、何事もなかったようにゲームの話題に戻った。


 チャット欄は、

[なにアッピル?]

[急にどうした]

[誰もきいてないよ]

[彼女いる?」

 という具合にちょっと盛り上がったらしい。


「なんか不気味っていうか、怖いっていうか、でも気になっちゃって」


 急に悩める男子中学生みたいな雰囲気になって彼は言う。


「でもあの人、彼氏いらない派なんですよ~」


 知らんよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る